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恐竜の進化に迫る特別展「恐竜博2023」が国立科学博物館で開催—生物多様性を減らさないこと、人間を含む地球の未来のために

“攻・守”をテーマに恐竜の進化に迫る特別展「恐竜博2023」が国立科学博物館で開催されている!どのような恐竜博になっているの!?記事を読み進めよう!

 
特別展『恐竜博2023』
日本国初公開となるズール・クルリヴァスタトルの全身骨格とゴルゴサウルス・リブラトゥスの全身骨格(複製・ロイヤルオンタリオ博物館所蔵) ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

ティラノサウルス・レックス“スコッティ”は、推定全長約13m・体重8.9t、これまで発見されたティラノサウルス・レックスの中で最大の個体。化石は、カナダ サスカチュワン州に分布するフレンチマン層の露頭から1991年に発見された。2005年に開催された「恐竜博2005」には頭骨の実物化石が初来日したが、本展ではむかわ町穂別博物館所蔵の全身骨格(複製)が公開されている。

真鍋真博士による解説

肉食恐竜も大型化していきます。いまから7600万年前くらいだと、ティラノサウルス科でもゴルゴサウルス・リブラトゥスで全長9mくらいでした。6600万年前の最後の1000万年の間にティラノサウルス科がどんどん大型化し、ティラノサウルス・レックスが12m、13mという巨体になったということは、みなさんもご存知だと思います。ティラノサウルス・レックスとゴルゴサウルス・リブラトゥスの違い、後頭部がどんどん大きくなって、よりパワフルになっていったというのもご覧いただきたいと思います。“スコッティ”はいままで見つかっているティラノサウルス・レックスの中で最重量級約の8.9tと推定され、あそこまで大きくなったことを示しています。“タイソン”は、実物化石を組み込んだ全身骨格が完成したため、特別にお借りしてきて世界初公開となります。骨格を見ていただくと、鉄製のフレームに骨がはめ込まれています。CTスキャンをしたりする際にはフレームから取り外せるようになっています。

Raptor第4章 南半球における獣脚類の進化

恐竜博 2023

カルノタウルス 全身骨格(複製・ミュージアムパーク茨城県自然博物館所蔵)©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

恐竜博 2023

カルノタウルスの全身骨格を観察するSAPENS TODAY|サピエンストゥデイ公式アンバサダーの戸井田晃典さん(俳優) ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

第4章「南半球における獣脚類の進化」では、カルノタウルス、フクイラプトル、メガラプトルの全身骨格(複製)、さらに2020年に国立科学博物館とアルゼンチン共和国・アルゼンチン自然科学博物館の共同調査チームが発掘し、昨年2022年にメガラプトル科の新種であることが発表された、南半球において生態系の頂点の座を確立したとされる大型肉食恐竜マイプ・マクロソラックス(メガラプトル科)の実物化石・ホロタイプ標本などが公開されている。

 

恐竜博 2023

マイプ・マクロソラックスの実物化石(パドレ・モーリナ博物館所蔵)/資料画像 マイプ・マクロソラックス発掘現場(2020年) photographed by Matias Motta, 2020 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

国立科学博物館とアルゼンチン自然科学博物館の共同調査チームが、アルゼンチン共和国パタゴニア南部で約7000万年前の地層から化石を発掘した新種のマイプ・マクロソラックスは、マイプ=パタゴニア地方に伝わる冷たい風で人を凍え死にさせる悪霊・マクロソラックス=大きな胴体を意味し、メガラプトル科の中でも最大級でメガラプトル科最後の種である可能性が高いという。胴体の幅が最大約90cm、推定全長10m。発掘地から約100点の骨や歯の化石が発見されたが、頭部や前肢などの化石はまだ発見されておらず、調査研究が継続されている。

Tyrannosaurus第5章 絶滅の最新研究

第5章「絶滅の最新研究」では、地中に巣をつくるカワセミの剥製と地中の巣の再現模型を紹介し、約6600万年前の中生代白亜紀と新生代古第三紀の境目、ユカタン半島付近に巨大隕石が落下したK/Pg境界前後の鳥類の地中の巣の化石が特定できれば、隕石衝突後に鳥類が生き伸びるためのサバイバルについても新たな発見ができるとしている。また、人間が関与した絶滅の例として、人間が乱獲し、島に持ち込んだ動物による捕食などで1681年頃にモーリシャス島で絶滅したドードーの全身骨格(複製)を紹介し、いま起こっている第6の大量絶滅について人間がもっと高い関心を持ち、生態系の生物多様性を減らさないようにしなければならないことを訴えている。

 

特別展「恐竜博 2023」
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特別展「恐竜博2023」も世界初・日本国初公開の化石や全身骨格が展示され、予想以上に見応えがあり、恐竜の進化から絶滅、そして多様性までを学ぶことができる。現代の人間社会では、さまざまなところで多様性と包括性の重要性が叫ばれてはいるものの、“自分が正しい”“自分が偉い”“自分が一番”という“自分至上主義”、さらには人種差別やLGBTQI+差別、排他的・不寛容な空気も蔓延り、なかなか進歩していないのが現実。しかし、恐竜の進化・絶滅・多様性とその史実から、人間を含む生物多様性の重要・必要性を知り、学ぶことができる本展は、画期的である。太古の地球に生きた恐竜の貴重な実物化石や骨格標本をいま私たちが観ることができるのは、発掘や研究に携わる人々の努力の賜物であることと、彼らへの感謝も忘れてはならない。本展の内覧会に出席したSAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ公式アンバサダーの戸井田晃典さん(俳優)は、「「いまは第6の大量絶滅の時期にきている」と言う真鍋先生のお話と、本展終盤にある人間の乱獲などによって絶滅してしまったドードーが自分の中でリンクしたことです。恐竜の化石や、テレビ・映画で恐竜を見たことがあっても、どこか“昔の話”として片付けていた部分がありましたが、真鍋先生のお話をお聞きして本展を観ることで“実際に存在した生き物”という認識に変わりました。自然の摂理の中に種の競争や絶滅が存在することはごく自然なことだとは思いますが、人間の手で他の種や生物の絶滅を早めては絶対にいけないのだと思いましたし、生物多様性の重要性も学ぶことができました。賀来賢人さんが登場したオープニングを見学させていただいたことも貴重な体験でした。賀来賢人さんの音声ガイドを聴きながら展示を観ることで、一緒に回っているような気持ちになって楽しかったです!とにかく声が良い!僕の質問に丁寧に答えて教えてくださった真鍋先生、ありがとうございました!」と感想を寄せた。追加情報として、イタリア共和国以外では世界初、日本国初公開となる“奇跡の赤ちゃん恐竜”スキピオニクスの実物化石が来日し、3月24日(金曜日)から本展で公開!この貴重な機会を見逃すな!

 
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