セサミストリートに人種について話すアフリカ系親子のマペットが初登場—子どもと一緒に人種について話すことを奨励する教材公開
セサミストリートを手掛けるセサミワークショップが、人種やアイデンティティについて話すことを奨励する教材を公開した!どのような教材になっているの!?記事を読み進めよう!
世界160以上の国と地域で愛され続けている子ども向け教育テレビ番組『Sesame Street』(『セサミストリート』)は、家族・大人が子どもと一緒に人種やアイデンティティについて話をすることを奨励する教材を公開し、その映像の中で人種について話すアフリカ系親子のマペットを初めて紹介した。
アフリカ系住民やアジア系住民への人種差別・憎悪犯罪が、アメリカ合衆国、そして、世界でこれまで以上に急増し、世界的な問題になっていることを受け、セサミストリートをはじめとするテレビ番組や子どもの教育プログラムを手掛けるアメリカ合衆国の501(c)(3)(非営利組織)Sesame Workshop(セサミワークショップ)は、人種差別と人種差別による子どもへの影響に焦点を当てた人種間の平等・公平に関する取り組み Coming Together(カミング・トゥギャザー/みんなが1つに)の一環として、家族・大人が子どもと一緒にオープンに人種や人種差別について話すことを手助けし、人種差別に反対する立場に立つための教材 ABCs of Racial Literacy(人種リテラシーの基本(いろは))をセサミワークショップのオフィシャルウェブサイトと、バイリンガルのマルチメディアツールを提供しているSesame Street in Communities(セサミストリート・イン・コミュニティズ)のオフィシャルウェブサイトで発表。
ABCs of Racial Literacyは、専門家との広範な調査と協議に基づいて作られ、すべての家族が自分たち独自の人種やアイデンティティを誇りに思い、祝福・称賛するのに役立ち、家族・大人が子どもからの人種や人種差別に関する難しい質問に答えるために子どもの年齢に適した表現や方法、会話の始め方、ポイント、家族で一緒に人種差別に立ち向かうための取り組みなどを記した教材、実際に人種差別を受けた家族が実体験を語る映像、昨年2020年にCNNと共同で制作・放送した特別番組『Coming together: Standing Up to Racism. A CNN/Sesame Street Town Hall for Kids and Families』のアーカイヴ映像が公開されているほか、新しいアフリカ系親子のマペットで5歳のWesley(ウェスリー)と父親のElijah(イライジャ)を特集した映像が公開されている。ウェスリーと父親イライジャを特集した映像では、Elmo(エルモ)がウェスリーの肌の色が茶色である理由を知りたがり、ウェスリーの父親イライジャが肌の色素(メラニン)についてや肌の色も自身のアイデンティティ、自身・私たちが誰であるのかの重要な部分であることを説明する映像になっている。また、近日、スペイン語を話すロジータの母親とその友人のSofia(ソフィア)が食料品店での人種差別的な出来事に対処する映像も公開する予定という。さらにウェスリーやエルモ、Abby Cadabby(アビー・カダビー)、Rosta(ロジータ)が登場して“目や肌の色は違うけど、私たちに違いはなく、私たちは同じ”、“私は誇りに思う”と、独自のアイデンティティや文化の多様性を誇り、祝福・称賛し、多様性や包括・包摂性の学習を促進する歌「Giant」(ジャイアント)のミュージックビデオも公開されており、子どもたちが肌の色や生まれ育った背景、能力、家族関係に関係なく誰もが歓迎され、社会の現実に中で1人のひととして自信や誇りを持つことができるような歌となっている。
セサミワークショップのシニア・ヴァイス・プレジデントのDr. Jeanette Betancourt(ジャネット・ベタンコート博士)は、ABCs of Racial Literacyについて「At Sesame Workshop, we look at every issue through the lens of a child. Children are not colorblind—not only do they first notice differences in race in infancy, but they also start forming their own sense of identity at a very young age, The ABCs of Racial Literacy’ is designed to foster open, age-appropriate conversations among families and support them in building racial literacy. By encouraging these much-needed conversations through Coming Together, we can help children build a positive sense of identity and value the identities of others.(セサミワークショップでは、子どものレンズを通してあらゆる問題を見ています。子どもたちは、色覚異常ではありません。彼らは幼児期に最初に人種の違いに気付くだけでなく、非常に若い年齢で自身のアイデンティティの感覚を形成し始めます。ABCs of Racial Literacyは、家族の中でオープンに年齢に適した会話を促進し、人種リテラシーの構築を支援するように設計されています。Coming Togetherを通じて、非常に必要とされている会話を奨励することにより、私たちは子どもたちが前向きなアイデンティティの感覚を構築し、他の人のアイデンティティを大切にすることを助けることができます」とコメントを寄せた。
セサミワークショップ / セサミストリートは、日本国でもこれまでのテーマDiversity(多様性)とInclusion(包括・包摂性)に、新たにEquity(公平性)を加え、活動、取り組みを進めていくとしている。
https://www.sesameworkshop.org/what-we-do/racial-justice
Racial Justice – The ABC’s of Racial Literacy
https://www.sesameworkshop.org/what-we-do/racial-justice
Explaining Race / 歌「Giant」
SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイでは、いままでも“黒人”ではなく“アフリカ系”の表記をルールとしてきたが、それは、当事者から見ればインディアンをネイティブ・アメリカンと表記・呼ぶのと同様に表記のし方・呼び方に気を使われただけで、世の中は相変わらず人種差別やHate Crime(憎悪犯罪)が横行し、何も変わってやしない、となるだろう。表記・呼び方も気を使わないよりは、使う方がいいとは思うが、確実に動かす、変える何かも必要と感じている。そして、人や広告、メディアはわかりやすくするために何でもカテゴライズしたがるが、アフリカ系だからと言って肌の色を黒や茶、逆に肌の色が黒や茶だからと言ってアフリカ系と区別・限定することはできない。このことからも、誰もが肌の色で人・人種を分け隔てることができないことは明白。そして、アフリカ系の人々が自ら誇りを持って“黒人”と呼ぶのと、私たちが敬意を払いながらも肌の色で“黒人”と呼ぶのは、意味合いも何もかもが違う。やはり、ひとは、ひと。肌の色で判断するのではなく、改めてひとを知る・学ぶ、ことやものを知る・学ぶことから始めなければならない。まずは自らのルーツ、そして、他のひとのことも知る・学ぶことから始めよう。ここ日本国でも、人種差別は存在し、他人事ではない。身近な例をあげると、みんなも悪気なく使っている「外国人」のワードも、海外から来た人には疎外感や距離感を感じさせ、差別的と思わせてしまっている。歌「Giant」にもある、“目や肌の色は違うけど、私たちに違いはなく、私たちは同じ”のフレーズから“違いはあっても同じひと”という根本的なことをみんなが思い、考えることができるようになるといいね。セサミストリートの取り組みは、いつの時代も斬新で画期的だ。社会で何らかの問題が浮上すると、問題を解決すべくタブーとされてきたことにも切り込み、子どもたちだけではなく、家族・大人も一緒に知る・学ぶことができる教材や映像を専門家やマペティアなどと一緒に短期間でつくりあげ、エンターテインメントx教育で確実に人々の心と世界・社会に提起し浸透させていく。このパワーは、本当に素晴らしい。