特別展『恐竜博2019』が開幕—世界初公開のデイノケイルスとむかわ竜の全身復元骨格&日本国初公開の化石標本も展示

ティラノサウルス

ティラノサウルス 全身復元骨格(複製)/北海道勇払郡むかわ町立穂別博物館 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
恐竜といえば、ティラノサウルスというくらいメジャーで史上最大最強の肉食恐竜。アメリカ合衆国サウスダコタ州シャイアン川(インディアン居留地)で発見されたティラノサウルスの化石には、愛称として“スー”という標本名が付けられている。カナダ サスカチュワン州南部で発見されたティラノサウルスの化石は、発見した際に発掘調査をした研究者らがスコッチウィスキーで祝ったことから愛称として“スコッティー”という標本名が付けられた。国立科学博物館に展示されているティラノサウルスの化石には、愛称として“スタン”という標本名が付けられている。このようにティラノサウルスの良好な化石(標本)には、愛称として標本名が付けられる。ティラノサウルスの中では、これまで“スー”が最大の個体とされてきたが、腸骨の長さ、大腿骨の近位端の幅、肩甲骨烏口骨の幅などの計測値では“スコッティー”の方が大きいことが明らかになった。ティラノサウルスは、恐竜時代の最末期を生物種として、約300万年間生態系の頂点に君臨したとされており、白亜紀末の大量絶滅によって最期を迎えた。
地球上では6回目の大量絶滅期に突入

隕石衝突のCG ©︎ NHK
いまから約66,000,000年前、現在のカリブ海付近にあった浅い海に直径10kmほどある隕石が落下。隕石と地表の破片は水蒸気とともに巻き上げられて大気圏に層を作り、太陽光線が遮られて気温が28度も下がったことで、植物の光合成が約2年近く滞ったとされる研究発表がある。そのような状況を生き残ることができたのは、体が小さかったり、必要とするエネルギーが少ない生物だけである。会場には、ティラノサウルスのような大型の恐竜など全生物の75%以上が通過することができなかった白亜紀と古第三紀の境界「K-Pg境界」(Cretaceous-Paleogene boundary)に見立てて表現したせまい通路が設けられている。このせまい通路を通り抜けながら、約66,000,000年前の恐竜を含む生物に思いを馳せよう。
生物は、太古から世界のどこかで絶滅している種があり、また世界のどこかで新しく誕生する種があり、常に途切れることなく進化を続けている。地球上では、約66,000,000年前に5回目の大量絶滅が起き、いま6回目の大量絶滅期に突入していると言われている。現代に生きる生物の一種である私たち人類は、これまでの大量絶滅の事実から何を学び、どのように生かすことができるのか・・・地球・宇宙、そして、ヒトを含む生物の未来に思いを馳せ、考えていかなければならない。