特別展『恐竜博2019』が開幕—世界初公開のデイノケイルスとむかわ竜の全身復元骨格&日本国初公開の化石標本も展示
1965年にモンゴル国ゴビ砂漠で発見され、40年もの間“謎の恐竜”とされてきたデイノケイルスの頭骨や足の骨の実物化石と全身復元骨格が初来日し、世界で初めて公開されている。
1965年にモンゴル国ゴビ砂漠の白亜紀後期の地層から発見された長さ2.4mの前あしの化石は、1979年にポーランド共和国の女性研究者によってそのカギツメ状の指先から恐ろしい手を意味する「デイノケイルス」という学名がつけられた。
その後、前あし以外の化石が40年近く見つからず、デイノケイルスは長い間“謎の恐竜”とされてきた。しかし、近年、頭骨や胴体、後ろあしなどを含む2体の化石が発見され、幅広なクチバシ、背中の帆のような構造、指先が手のように尖っていない足など、想定外の恐竜であることが判明した。最初の発見からおよそ50年を経て、2014年10月22日に論文が出版され、謎の恐竜とされてきたデイノケイルスの全貌が世界に知られるようになった。
デイノケイルスは、キメラ(同一個体内に異なる遺伝情報を持つ細胞が混じっている状態や個体)のような良いところ取りの恐竜と言って良い。体の基本構造はダチョウ型恐竜であるオルニトミモサウルス類、クチバシや蹄のような足はハドロサウルス類。骨の空洞化は、竜脚類。スピノサウルスのような大きな帆を背中に担いでいる。デイノケイルスが属するオルニトミモサウルス類は、速さを追求した恐竜ではあるが、デイノケイルスは大きさを求めた。本来のオルニトミモサウルス類の骨の構造では巨大化できなかったが、竜脚類のような骨の空洞化によって軽量化に成功したとされ、巨大化したという。さらに巨大な重い体を支えるための蹄のような足の指を持ったとされている。巨大化は、他の肉食恐竜や危険からの最大の防御になったかもしれない。一方、動くことを苦手としていたようで、なるべき動かずして効率よくエサを食べるため、ハドロサウルス類のようなクチバシを持ち、自分の存在を主張するために大きな帆を持ったと考えられている。これまで“謎の恐竜”として知られていたが、全貌が明らかになったいまは“ヘンテコな恐竜”として世界中で知られている。会場では、NHK『恐竜超世界2019』で放送されたデイノケイルスのCG映像も公開され、デイノケイルスの生態がイメージしやすくなっている。