特別展『恐竜博2019』が開幕—世界初公開のデイノケイルスとむかわ竜の全身復元骨格&日本国初公開の化石標本も展示
特別展『恐竜博 2019』が、 2019年7月13日(土曜日)から東京・国立科学博物館で開催されている。
古脊椎動物学史上もっとも影響力のあった研究者の一人でもある古生物学者のDr. John H. Ostrom(故・ジョン・H・オストロム博士)が、1969年にアメリカ合衆国で新種の肉食恐竜の指先と手首の化石を発見し、その肉食恐竜には恐ろしいツメを意味する「デイノニクス」という学名がつけられてから今年で50年。1976年には、ジョン・H・オストロム博士がデイノニクスのような恐竜から鳥類が進化していたとする「鳥類の恐竜起源説」を提唱したことにより“恐竜ルネッサンス”という新しい恐竜観の時代に突入していく。
特別展『恐竜博 2019』は、恐竜学・恐竜研究の50年の変貌と最新の研究成果・新発見を紹介し、世界初公開・日本国初公開を含む恐竜学の新時代をつくった重要な化石標本や復元骨格を展示。さらに約66,000,000年前の地球に隕石が衝突した際、恐竜は完全には絶滅せず、一部が鳥類として生き延び、現在も進化を続けているとされており、鳥類以外の恐竜がどのように絶滅していったのか、哺乳類がいつ台頭し始めたのかなど、アメリカ合衆国コロラド州の化石産地での発見からわかりつつある新仮説も紹介され、恐竜の抱卵や子育て、皮膚の色、性別、絶滅の謎にも迫る。
そして、いま、地球上の生物は、約66,000,000年前の5回目の大量絶滅を経て、6回目の大量絶滅期に突入していると言われ、私たち人類がこれまでの大量絶滅の事実から何を学び、どのように生かすことができるのか・・・恐竜を通して、地球・宇宙、そして、ヒトを含む生物の未来に思いを馳せ、過去・現在・未来を考えるロマン溢れる特別展『恐竜博 2019』となっている。
2019年7月13日(土曜日)の開幕に先駆け、7月12日(金曜日)には開会式・内覧会が開催され、音声ガイドをプロデュースし、自ら出演した放送作家/脚本家の鈴木おさむも来場。鈴木おさむは、デイノケイルスの全身復元骨格について「この大きな手を見て圧倒されました。“謎の恐竜”と言われただけあって、迫力がありますね」、続けて「むかわ竜」についても「実際に見ると大きくて、ワクワクしました。「むかわ竜」は北海道で発見された日本産の恐竜。日本でこれだけのものが発見されたということは、これから日本でもっと恐竜が発見されるかもしれない。僕ら大人にもすごくロマンをくれますね」 とコメント。初めてプロデュース・出演した音声ガイドについては「テレビの情報番組で使われているような手法で、先に答えを言ってから解説しています。より分かりやすく、より伝わりやすく、そして恐竜マニアの人にも満足いただけるように構成から考えました」と説明した。
ここで特別展『恐竜博 2019』の見どころを会場の写真や貴重な資料を交えてご紹介する。
恐竜ルネッサンス
すべてのはじまり
会場に入ると、この神々しい肉食恐竜の後ろあし・足の第2趾(ホロタイプ標本・実物)が目に飛び込んでくる。アメリカ合衆国コネティカット州ニューヘイブンにあるイェール大学ピーボディ自然史博物館所蔵のデイノニクスのホロタイプ標本で、今回初めて来日し、日本国で初めて公開。1969年、アメリカ合衆国で古生物学者のジョン・H・オストロム博士が発見した、肉食恐竜のこの足の指先(第2趾)の化石がすべてのはじまりとなる。この肉食恐竜には、恐ろしいツメを意味する「デイノニクス」という学名がつけられた。研究が進むにつれ、デイノニクスは素早く活発に動き、鳥や哺乳類のような温血(恒温)動物だったと考えられるようになり、それまで考えられていた爬虫類のような愚鈍な恐竜のイメージを一新し、1976年にはジョン・H・オストロム博士がデイノニクスのような恐竜から鳥類が進化していたとする「鳥類の恐竜起源説」を提唱したことによって、“恐竜ルネッサンス”という新しい恐竜観の時代に突入した。