セサミストリートと東京都人権啓発センターが「子供人権教室」を開催—エルモとクッキーモンスターも子どもたちを温かく応援
東京都人権啓発センターが、セサミストリートの仲間たちと一緒に「子どもの権利」について考える「子供人権教室」を開催した!どのような教室になったの!?記事を読み進めよう!
世界150以上の国と地域で愛され続けている子ども向け教育テレビ番組『Sesame Street』(『セサミストリート』)と東京都人権啓発センターが、2024年9月28日(土曜日)に「第1回 子供人権教室 セサミストリートの仲間たちと一緒に知ろう!子どもの権利と多様性」を東京都人権プラザ(東京・芝)にて開催した。
東京都が設置した人権啓発の拠点施設 東京都人権プラザを管理運営する東京都人権啓発センターは、小学生(小学校低学年)の子どもたちとその保護者を対象に、セサミストリートの仲間たちと一緒に子どもたちが心もからだも健やかに、自分らしく育つための「子どもの権利」について考える「子供人権教室 セサミストリートの仲間たちと一緒に知ろう!子どもの権利と多様性」を開催。第1回目となったこの日は、セサミストリートティーチャーの為田裕行が講師として登壇し、日本国で生まれ全国的に広がりを見せているセサミストリート小学校向けプログラム「セサミストリートカリキュラム」を用いて「コミュニケーションの方法とあり方」「目に見えないちがいを考える」ワークショップを実施した。ワークショップでは、為田裕行から「コミュニケーションとは何ですか?」、「初めての人と会うとき、どのようなコミュニケーションを取りますか?」、「日本語を話せない、他言語しか話せない子と出会ったとき、どのようなコミュニケーションを取りますか?」といったテーマが出されたほか、セサミストリートの人気マペットであるAbby Cadabby(アビー・カダビー)と自閉症の特性があるJulia(ジュリア)が初めて出会ったときのエピソード「みんなステキ」より「エルモに初めて会うとき、(自閉症の特性がある)ジュリアに初めて会うとき、どのようにコミュニケーションを取ったらいいでしょう?」というテーマも出され、参加した子どもたちは言葉・会話のコミュニケーションと、言葉・言語が通じない場合の言葉・会話以外のコミュニケーション「表情」「身振り・手振り」「態度」「手話」「手紙」「文字や絵を紙に書く」など、それぞれが考えた多様なコミュニケーションの方法を思い思いにワークシートに記入し、発言・共有。終盤、セサミストリートのElmo(エルモ)とCookie Monster(クッキーモンスター)もサプライズで登場し、子どもたちを温かく見守り、応援した。「日本語を話せない、他言語しか話せない子と出会ったとき、どのようなコミュニケーションを取りますか?」について、この日参加したことこさん(10歳)は「タブレット(端末)があれば、翻訳アプリを使って翻訳されたものを紙に写したり、お互いにタブレット(端末)を持っていれば日本語を話せない子が話せる言語に変えてもらってSiri(バーチャルアシスタント)に話してもらったりする」と発表し、相手を思い、最先端技術を活用してコミュニケーションを取る方法とアイデアを発表したことこさんに会場から大きな拍手が送られた。ワークショップ終了後、ことこさんと、ことこさんのお母さんがSAPIENS TODAY|サピエンストゥデイのインタビューに応じ、ことこさんは「人権についてよく学べたので楽しかったです」と参加した感想を語り、発表したコミュニケーションの方法とアイデアについては「転校生が色々な国をまわっていた子で、日本語があまり通じなかったのでクラスのみんなで話し合って翻訳アプリを使うのが良いかもしれないとなりました」と、実体験をもとに発表したという。また、ことこさんのお母さんは「この子はこれからもっともっと色々な人と関わっていくことになると思うので、もっとこうしたら良いのではないかと考える良いきっかけになったと思います」と自身の子どもが参加したことについて語り、続けて「この子はまだ差別された経験がないと思うので、自分が差別される側になるタイミングやチャンスではないですけど、一度そういうものに晒してみるのも親としてできることの1つかなとも思っています。(子どものために)色々な機会を作るのが親としてできることかなと思います」と、子どもの体験・経験・機会をサポートしたいと語ってくれた。今回参加した子どもも大人も全員が、相手を思い、寄り添い、目には見えない相手の特性(特徴)、気持ちを尊重した多様なコミュニケーションの方法があることを学ぶことができたようだ。
東京都人権プラザでは、現在、特別展示「セサミストリートの仲間たちと学ぼう!子どもの権利」を開催。本展は、1989年11月20日に国連総会が採択した国際条約「United Nations Convention on the Rights of the Child」(子どもの権利条約)と子どもの権利についてセサミストリートのマペットたちがナビゲーターとなって紹介しており、子どもやユース世代を中心とするすべての世代が楽しみながら子どもが持つ権利を学ぶことができる。他にも常設展示として、日常生活の中にある人権課題に気づき学ぶことができる「気づきゾーン」、高齢者や障がい者、妊婦等が感じているさまざまなバリアの一部や車いすの乗車、アイヌの文化などを体験することができる「体験ゾーン」、「東京都の人権施策」をはじめ、〈障がい者〉〈同和問題〉〈外国人〉〈北朝鮮による拉致問題〉〈性自認・性的指向〉の「5つの人権課題」、オリンピック・パラリンピックの理念とさまざまな障がい者スポーツについて解説する「スポーツと人権」、〈外国人〉〈ハンセン病患者等〉〈性自認〉等当事者の生の声を紹介する「私たちの声“Our Voices”」、特に注目すべきテーマや最近注目を集めているテーマについて紹介する「クローズアップ人権」で構成された「さまざまな人権ゾーン」がある。
セサミストリートと東京都人権啓発センターによる「子供人権教室 セサミストリートの仲間たちと一緒に知ろう!子どもの権利と多様性」は、子どもだけでなく、大人(保護者)も一緒に「子どもの権利」や「多様性」を楽しく学び、学んだことを友人や家族で共有することができる画期的な教室。参加した子どもたちも積極的に発言し、中には素晴らしいアイデアを発表する子もいた。10代であるSAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ公式アンバサダーのIonさん(モデル)とSeiyaさん(モデル)も「子供人権教室」を見学し、“自分だったら”とコミュニケーションの取り方を考えて2人で話し合い、「僕も(子どもたちに)混ざって話したいな」「学校でもこんな授業があったらといいな」と話していた。今回用いられたサミストリートの小学校向けプログラム「セサミストリートカリキュラム」の良いところは、“正解”も“不正解”もないところ。言わば、哲学者/政治哲学者/倫理学者 Michael J. Sandelさんの授業や講演会のような感じだ。みんなそれぞれ意見や発言をし、その意見や発言を尊重し、考え、時に話し合い、受け入れる——そこに多様性が生まれる。「人権」や「権利」というと堅苦しく聞こえるかもしれないが、ヒトがヒトとして生かされ生きる上でとても大切なこと。当事者である子どもが子どもの頃から知る、学ぶことで最大限に生かすことができ、大人になったときに自身の子どもや孫はもちろん、周囲や地域の子どもたちの権利も尊重する大人になるといった良い循環が生まれる。東京都人権プラザでは、特別展示「セサミストリートの仲間たちと学ぼう!子どもの権利」も開催されているので(入館無料)、みなさんにもぜひ足を運んでいただき、子どもの権利条約と子どもの権利について知ってほしい。フォトスポットやぬり絵コーナーもあるので、まずは東京都人権プラザに行って展示を見て写真を撮影するだけでも!実は、筆者も20代ときに日本ユニセフ協会の協力のもとUNICEFと日本国外務省が主催した子どもの権利(条約)に関する世界会議に出席し、世界中から来日した同世代の子どもや若者、各国政府関係者、専門家などと子どもの権利(条約)について話し合い、学んだため、そのときの体験・経験・人間関係はいまでも貴重なものとなっている。日本国でも憲法ですべての人に平等に保障されているはずの「人権」や「プライバシー」は、陰で政府行政機関や公務員である公権力によってことごとく踏み躙られている現実もある。人権擁護やプライバシー保護に関する活動をする人物や団体、自分たちに都合の悪いものを“左”=左翼思想、“敵”と位置付けるブラックリストや個人情報を収集したデータベースが存在するのも事実。政府や政治家が積極的にAIなどの新しいものを導入するのはいいが、まずは基盤となる「人権」「プライバシー」の保護に関する法整備がなければ、権力に偏った、公権力の都合の良い危険な社会になっていく。日本国でも「人権」や「プライバシー」が侵害されている事実と、子どもの頃から一人ひとりが自分自身と他者の「人権」や「プライバシー」の重要性を知って守ることが大切である。