セサミストリートに新マペットの双子ノアとアジーズが登場—世界最大の難民キャンプで暮らす子どもたちに教育と学習の機会を
セサミストリートを手掛けるセサミワークショップが、6歳の双子ノアとアジーズという新しいマペットを発表した!どのようなマペットなの!?記事を読み進めよう!
世界150以上の国と地域で愛され続けている子ども向け教育テレビ番組『Sesame Street』(『セサミストリート』)に、新たなマペットでロヒンギャ難民の6歳の双子Noor Yasmin(ノア・ヤスミン)とAziz Yasmin(アジーズ・ヤスミン)が登場した。
セサミストリートや子どもの教育プログラムを手掛けるアメリカ合衆国の501(c)(3)(非営利組織)Sesame Workshop(セサミワークショップ)は、これまでも中東でシリア難民危機の影響を受けた子どもや家族を支援する人道支援プログラムを展開するなどしており、新たにデンマーク王国のThe LEGO Group(レゴグループ)の創業者一族が運営するThe LEGO Foundation(レゴ財団)と共にロヒンギャ難民危機の影響を受けた子どもと家族を支援する人道支援プログラムを展開。その一環として、ロヒンギャの言語や文化、習慣などを取り入れたロヒンギャ難民の6歳の双子ノア・ヤスミンとアジーズ・ヤスミンという新たなマペットを発表した。ノア・ヤスミンとアジーズ・ヤスミンは、バングラデシュ人民共和国コックスバザールにある世界最大の難民キャンプで家族と一緒に暮らしているとされ、ノア・ヤスミンは自信に満ちあふれ、勉強と遊びが大好きで、家族や友達と一緒に遊ぶゲームのために楽しくて面白い新しいルールを作るのが得意な女の子、アジーズ・ヤスミンは想像力に満ちあふれ、王や女王、動物についての物語を作って演じることや家事や他人の仕事を手伝うことが大好きで、家族や友達を助けることが大切だと考えている男の子としている。ノア・ヤスミンとアジーズ・ヤスミンは、バングラディッシュ人民共和国内で活動をしているNGO(非政府組織)のBRAC、The International Rescue Committee / IRC(国際救助委員会)、ニューヨーク大学の人間開発社会変化研究所内に設けられた国際的な研究センターGlobal TIES for Childrenがパートナーシップを組んで難民キャンプに住む子どもと家族向けに提供している早期教育&学習プログラム『Play to Learn』のロヒンギャ語の映像や絵本、教材などにElmo(エルモ)やエルモのお父さんLouie(ルーイー)などのマペットたちと一緒に登場し、ロヒンギャ難民の子どもたちに不安や恐怖に対処する方法を伝え、子どもたちの社会的・感情的な学習、数学、科学、健康と安全に関する遊びやインタラクティブな体験を通した学習活動を促進する。
新たなマペットの発表について、セサミワークショップ ソーシャルインパクト担当プレジデントのSherrie Westin(シェリー・ウェスティン)は「ノアとアジーズは、ロヒンギャ難民危機と新型コロナウイルスによる感染症のパンデミックという二重の危機によって多大な影響を受けている子どもたちとその保護者たちに遊びを通して早期教育と学習を提供しようとする私たちの取り組みの中心にいます。2人は、非常に特別なセサミマペットです。ほとんどのロヒンギャの子どもたちにとって、メディアの中で彼らに似た外見と発音をする最初のキャラクターになることでしょう。豊かなロヒンギャ文化に根ざし、ロヒンギャの家族から広範な研究と意見・情報提供を受けたノアとアジーズは、これまで以上に遊び心のある学習が必要とされる時代に、家族に学習の変革力をもたらします」とコメントを寄せ、レゴ財団 チーフ・インパクト・オフィサーのSarah Bouchieは「遊びを通じた学習への投資は、ロヒンギャ難民危機の影響を受けた何千人もの子どもたちが世界的なパンデミックによってもたらされた予想外の新たな課題に直面しているいま、さらに重要です。ノアとアジーズは、この危機に直面している多くの子どもたちと同じような経験を共有するだけでなく、子どもたちがトラウマやストレスを克服し、立ち直る力を身につけるのを助け、楽しい遊びをベースにした学習活動に従事します。遊びを通して学ぶことは、創造性や社会感情的技能など、この急速に変化する世界で生き残るために不可欠な総合的な技能の発達にも役立ちます」とコメントを寄せている。
ミャンマー連邦共和国ラカイン州に住む国籍を持たない(どの国からも国民として認められず、基本的な人権がない)約1,000,000人のイスラム系少数民族“ロヒンギャ”は、旧・ビルマ時代から数十年に渡ってミャンマー連邦共和国軍による虐殺や民族浄化、差別、激しい暴力・迫害に苦しめられ周辺国に避難しており、2017年には軍と反政府武装組織の激しい衝突で約800,000人以上が国境を接する隣国のバングラディッシュ人民共和国コックスバザールに避難。世界最大の難民居住地となっているコックスバザールのクトゥパロンとナヤパラにある認定難民キャンプでは、2017年よりも前から避難しているロヒンギャを合わせると約920,000人(その半数以上が18歳未満の子ども)が避難民としての生活を強いられている。このロヒンギャ難民危機に加え、今年はSARS-CoV-2 / COVID-19(新型コロナウイルスによる感染症)のパンデミックも重なり、ロヒンギャ難民がすでに直面している脆弱性をさらに悪化させているほか、子どもたちが学ぶ場所が閉鎖、『Play to Learn』のパートーナースタッフによる家庭訪問も停止されるなど、子どもたちの早期教育へのアクセスも制限され、長期的な福祉や健康、精神的健康に永続的な影響を及ぼす可能性がある。以前から最重要課題となっていた水や衛生環境・インフラ整備、災害対策などに加え、子どもたちの教育や学習、子どもと家族の福祉、健康、安全に関しても最重要課題となっている。
ノア・ヤスミンとアジーズ・ヤスミンの映像
セサミストリート インターナショナル・ソーシャルインパクトのYouTubeチャンネルでは、バングラディッシュ人民共和国内で制作されているノア・ヤスミンとアジーズ・ヤスミンの映像とそのメイキング、セサミストリートのマペットとロヒンギャの子どもたちが交流している様子が公開された。
バングラディッシュ人民共和国コックスバザールのクトゥパロンとナヤパラにあるロヒンギャ難民のキャンプでは、ほとんどの子どもたちが公共の教育を受けることができず、新型コロナウイルスによる感染症のパンデミック後はさらに教育と学習の機会がなくなっていた。そんな中でセサミストリートが発表した6歳の双子のマペットNoor YasminとAziz Yasmin、現地のNGOなどによる早期教育&学習プログラムは、子どもたちとその保護者たちが質の高い教育にアクセスでき、遊びを通して学習できる良い機会になる。衛生や健康、安全についても学ぶことで、新型コロナウイルスによる感染症の拡大を防止することにも繋がる。どんな状況下でも子どもにとって大事なのは、おもちゃやぬいぐるみ、絵本、ゲーム、遊びのように興味や関心、好奇心を掻き立てるもので、それらのすべてを網羅するセサミストリートは、誰もが楽しみながら自然に効果的に学ぶことができる、素晴らしいコンテンツと取り組みだと感じる。