セサミストリート キャラクターブックが日本国初登場—かわいいだけじゃない!社会問題の啓発・解決に動く社会派マペットたち
セサミストリートの放送開始から50年を記念して、日本国では初めて出版される図鑑『セサミストリート キャラクターブック』が発売された!キャラクターブックの内容は!?記事を読み進めよう!
世界150以上の国と地域で愛され続けている子ども向け教育テレビ番組『Sesame Street』(『セサミストリート』)のキャラクターを紹介する図鑑『セサミストリート キャラクターブック』が、昨日2020年6月25日(木曜日)に小学館から発売された。
小学館は、セサミストリートや子どもの教育プログラムを手掛けるアメリカ合衆国の501(c)(3)(非営利組織)Sesame Workshop(セサミワークショップ)の監修のもと、日本国で初めてセサミストリートのキャラクターを紹介する図鑑『セサミストリート キャラクターブック』を発売。アメリカ合衆国で1969年11月10日にスタートした子ども向け教育テレビ番組『セサミストリート』は、日本国でも1971年からNHKで放送され、子どもを中心に大人気を博し、近年はソーシャルメディアやYouTubeチャンネルでコンテンツを配信しているほか、全国で金融教育プログラムや小学校向け教育プログラム、医科・歯科クリニック&病院向けプログラムを展開。さらにグッズやアパレル、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクションやエンターテインメント、キャラクター・グリーティングなども老若男女関係なく大人気を博している。しかし、セサミストリートの誕生の背景や番組の内容、セサミストリートに登場するキャラクター=マペットの誕生の背景や使命、セサミストリートが時代・世界情勢・社会の変化・世界中の地域の特徴やニーズに応じて展開している教育プログラムの内容、社会を取り巻く様々な問題を反映したマペットが誕生・登場していることは、日本国ではあまり知られていない。そんな中で発売されたのが、図鑑『セサミストリート キャラクターブック』である。
ここで、少しだけセサミストリートの始まりをご紹介する—1960年代後半、貧困や人種、ジェンダー、ベトナム戦争など様々な社会問題と社会情勢が悪化していたアメリカ合衆国では、低所得者層やマイノリティの家庭の子どもたちが十分な教育を受けることができない環境であったことから、テレビプロデューサーのJoan Ganz Cooney(ジョーン・ガンツ・クーニー)がテレビの影響力と、当時全米で人気を博していたマペティアのJim Henson(ジム・ヘンソン)が創造するマペット(Marionnette(マリオネット)=操り人形とPuppet(パペット)=指人形を組み合わせた造語で、ジム・ヘンソンが創造した独創的なパペットを意味する)を活用した教育方法のアイデアを思いつき、後に制作会社Children’s Television Workshop(チルドレンズ・テレビジョン・ワークショップ)を設立、1969年から子ども向け教育番組『セサミストリート』を放送。設立当初は会社組織であったが、2000年に現在のセサミワークショップに改名し、501(c)(3)(非営利公益法人※制度は多少違うが日本国でいう認定特定非営利活動法人(認定NPO法人))としてセサミストリートや教育プログラムなどを手掛け、いまに至っている。セサミストリートは、放送開始当時からアメリカ合衆国で蔓延っていたアフリカ系アメリカ人(黒人)はじめとする有色人種やインディアンに対する偏見・差別をなくすべく様々な人種をマペティア(パペット操者)、ヒューマンキャスト(出演俳優・女優)、バンド、スタッフに起用する斬新で画期的な番組と取り組みだった。
このようにセサミワークショップ(旧・チルドレンズ・テレビジョン・ワークショップ)の設立やセサミストリートの制作・放送の背景が、子どもたちと子どもを持つ親・家庭を取り巻く環境、社会情勢・社会問題と共にあり、それは放送開始から50年が経ったいまも変わることはなく、アメリカ合衆国だけではなく世界中で社会問題となっているホームレスや薬物・アルコール依存症について、まだまだ理解が浅い自閉症をはじめとする発達障がいについて、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)・AIDS(エイズ)について、里親・里子について、難民について、最近ではSARS-CoV-2 / COVID-19(新型コロナウイルスによる感染症(急性呼吸器疾患))や警察官によるアフリカ系アメリカ人(黒人)殺害事件を機に起きた人種差別と公権力(警察)による不正・市民への暴力に対する抗議についても、子どもたちや子どもをもつ親にわかりやすくありのままを伝え、問題提起し、子どもの頃から社会の現実に目を向け、考え、子どもたち自身の未来のためにも問題解決に動くきっかけをつくっている。その伝え方は、テレビやソーシャルメディアでのコンテンツの放送・配信、子どもと子どもをもつ親・家庭向けの教材の提供、教育プログラムなどで、一番重要な役目を果たしているのがカラフルで個性豊かなマペットたち。よく知られている大人気のElmo(エルモ)やCookie Monster(クッキーモンスター)、Big Bird(ビッグバード)、Oscar the Grouch(オスカー・ザ・グラウチ)のほかにも、自閉症の特性を持つJulia(ジュリア)、ホームレスになった経験があるLily(リリー)、薬物依存症の母親を持つ里子のKarli(カーリ)、HIVに感染しているKami(カミ)など社会の問題・現実を反映したマペットがここ数年で新たに誕生・登場し、正しい情報や知識を伝え、社会情勢・社会問題を啓発・提起し、解決に向けて動いている。
そんなマペットたちを紹介する『セサミストリート キャラクターブック』では、放送開始から50年の歴史を振り返りながら約110のマペットの写真と共にプロフィール、日本国内での活動や取り組みも紹介。クッキーモンスターの住んでいる場所は?ビッグバードの年齢は?オスカー・ザ・グラウチのガールフレンドは?日本版に登場していたマペットは?など、いままで知られることがなかったトリビア的要素も教えてくれる。さらに生まれ育った背景や環境、容姿、肌(毛や羽)の色、性格など、マペットたちから“みんなちがって、みんないい”という多様性についても楽しく学び、考えることができる。
セサミストリートのマペットたちは、かわいい!“かわいい”からさらに一歩進めて『セサミストリート キャラクターブック』を通してマペットたちについて知ることで、あなたの顔や性格、好きな色を重ね合わせることができるマペット、あなたが関心のある社会情勢・社会問題の中心にいるマペットなど、きっとお気に入りのマペットが見つかるはず!お気に入りのマペットと一緒に日本国はもちろん世界中の社会情勢・社会問題、多様性とインクルージョンについても考えてみよう!
セサミストリート キャラクターブックでは、ElmoやCookie Monsterをはじめとする約110のマペットが紹介されており、日本国、ブラジル共和国、南アフリカ共和国・ナイジェリア連邦共和国などで誕生したマペット、番組や写真、イラストでは見たことがあるけど名前やプロフィールまでは知らなかったというマペットも。色んな容姿や肌(毛・羽)、性格、生まれ育った背景・環境を知ることで、“みんなちがって、みんないい”、“みんなちがっているから楽しい”、“世界はカラフルだ”って感じることができるよ!知ることは大事だね!そして、子どもたちだけではなく、「社会問題の啓発・解決に動くセサミストリートやマペットって、なんか格好良い!」そこから入る若者たちが将来親になったとき、自分の子どもや地域の子どもにセサミストリートの存在と意義を伝えてほしい。