TODAY’S HUMAN ≫ ケヴィン・ライオンズ(アーティスト)——僕のモンスターたちと同様に人もひとりひとり違う
ヒトにフォーカスし、ヒトの“いま”を伝え、ひとと人の間・思いを繋ぐグラフプロジェクトです。路上などで撮影した人物のストリートポートレートやインタビューをご紹介します。
今回は、カラフルでエネルギッシュなモンスターアートを描くことでも知られる世界的に著名なアーティスト/クリエイティブディレクター/デザイナー/イラストレーターのKevin Lyons(ケヴィン・ライオンズ)さんにフォーカスします。
——ケヴィン・ライオンズさんが描くカラフルでエネルギッシュなモンスターは、多様性と包括性に満ち溢れています。モンスターたちのインスピレーションはどのようにして生まれているのですか?そして、新型コロナウイルスによる感染症のパンデミック以降、いままで以上に人種差別や公権力(警察)による暴力などが横行し、多様性や包括性が脅かされています。私たちがケヴィン・ライオンズさんの素敵なモンスターたちを愛し、受け入れるように、ひとがさまざまな人や物事を愛し、受け入れ、多様性と包括性に満ち溢れた世界にするためには何が必要だと思いますか?
モンスターたちはスケーターで超悪ガキッズ
それぞれしっかり見ると愛嬌や性格がある——
もともとモンスターを描いていたわけではなく、グラフィックデザイナーとしてNIKE(ナイキ)、Stussy(ステューシー)、スケートボーディング、ストリートウェア、プロスケートボードのTシャツなどのデザインを手がけ、さまざまなキャラクターを描いていました。そして、子どもの頃に見た好きなカートゥーンやアニメーションからインスピレーションを受けて、見る人にとって明るくて優しいモンスターをつくるということが自分の中で自然に生まれて、モンスターたちをたくさん描くようになりました。モンスターたちは、カラフル、そして明るい色で、見る人が笑顔になったり、ハッピーになったりと、ポジティブな意味があります。新型コロナウイルスによる感染症のパンデミック禍で隔離生活となり、そのときは自宅でadidas(アディダス)の子ども(幼児、幼稚園生から小学生低学年)向けのキッズコレクションに取り組んでいました。どのようにハッピーに描くか、どのように色を溢れさせてカラフルにするか、パンデミック後にどのようにすれば子どもたちや親御さんが見て購入したいと思うか、どのようにすれば子どもたちが着て嬉しいと思うものを作れるかをパンデミック禍の中で2年以上を費やして考え、パンデミック明けに世界中でコレクションがローンチされたのですが、自分が思っていた通りに色んな人がハッピーになったり、かわいいと言ってくれたり、明るい色なので着たいと思ってくれたりしたことが良かったです。モンスターたちは、日本ではみなさんから“かわいい”と言われがちですが、実はスケートボードキッズで超悪ガキッズです。それぞれすごく愛嬌があり、誰かを笑顔にしたり、笑わせたりと、全員それぞれに違う性格があります。かわいいけど(かわいいでまとめるのではなく)、それぞれしっかり見るとそれぞれの性格が顕に出ているので、それをもっとみなさんに見ていただき、愛し、受け入れていただきたいです。そして、モンスターたちと同様に人もひとりひとり違うということをわかってほしいですし、ひとりひとり違う人をそれぞれ愛すること、受け入れることで、多様性と包括性に満ち溢れた世界になると思います。
Kevin Lyons
ケヴィン・ライオンズ
BIRTH PLACE|出身
New York, United States of America
アメリカ合衆国 ニューヨーク州
WORK|職業
Artist / Creative Director / Designer / Illustrator
アーティスト / クリエイティブディレクター / デザイナー / イラストレーター
DREAM|夢
世界中どこにでも僕のモンスターたちがいること。
MESSAGE|メッセージ
僕には2人、22歳と19歳の娘がいます。彼女たちにも必ず言っていることですが、日本国の若者にも伝えたいことはKeep creating, Keep making stuff(常に創造し続けること、ものをつくり続けること)です。起業でも、本やアート、ジーンズなどのものづくりでも、諦めずに常に挑戦し続ける——前に進むためにはずっと続けていかないと到達地点には届きませんし、到達地点に届いたとしてもさらにまだ行くとところはあるので、常に挑戦し続けることを忘れないでほしいと思います。アートをつくることでも、アパレルショップで働くことでも、起業する・会社をつくることでも、諦めずに挑戦し続けてください。
PROFILE|プロフィール
アメリカ合衆国ニューヨーク州ブルックリンを拠点に活動。過去30年間でストリートアートとストリートカルチャーに深く関わり、彼のカラフルでエネルギッシュなモンスターアートは世界中のTシャツからスニーカー、スケートボード、携帯電話、そして飛行機にまであらゆるものに登場し、子どもから大人まで多くの人々を魅了し続けている。1990年代初頭、555 SOUL、SSURブランドのデザイナーとしてニューヨークのダウンタウンにてキャリアをスタートし、クラブのフライヤーデザインをはじめ、1990年から2000年のニューヨーク最大のパーティースポットとして名高いアシッドジャズクラブ Giant Stepのロゴをデザイン、のちにストリートウェアレーベル KINGPINを共同設立した。カリフォルニア州芸術大学でデザインの修士号を取得した後、NIKEのデザイナーに就任。映画監督/脚本家/プロデューサーのSpike Jonze(スパイク・ジョーンズ)監督が設立したGirl Skateboardsのアートディレクターに就任し、Girl在籍中に日本国の雑誌『Tokion』のアートディレクションを担当、Stussyのデザインディレクターを務める。その過程でNIKE、adidas、VANS、Commonwealth Stacks、SSUR、Supreme、DC Shoes、HUF、BEAMS Tなどのブランドや、自身のブランドAtlantis and Natural Bornのデザイン、Tシャツのグラフィックを手がけるなど活躍の幅を広げていった。1999年からアート作品の制作活動を開始し、日本国ではBEAMS Tにて初個展を開催。アメリカ合衆国、ヨーロッパ、オーストラリア、日本国、大韓民国、中華人民共和国、香港でも個展を開催。2000年には、フランス共和国パリのブティック Coletteにて商品やディスプレイ、看板など数百に及ぶデザイン業務に12年間従事。彼の代表的なモンスターを初披露した場所でもある。以来、モンスターは、世界中のスナック、食品、ベビーフード、キャンディ、ビール、おもちゃ、シューズ、アパレル、レコード、壁画にも登場。NIKE、adidas、CONVERSE、UNIQLO、NEW ERA、BURTON、HUF、Stussy、STANCE、VANS、MAISON DE REEFUR、CLOT、Girl Skateboardsなど、ケヴィン・ライオンズお気に入りのブランドとのコラボレーションも数多く発表し、モンスターはケヴィン・ライオンズを象徴するアートワークとなった。
Kevin Lyons|ケヴィン・ライオンズ
https://www.instagram.com/klyonsnatborn/
Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
Camera: Leica M10-R
取材協力: XLARGE、ビーズインターナショナル、JAPAN WALLS
数々のストリートブランドのデザインやモンスターアートでも知られるKevin Lyonsさんへのインタビューが、XLARGEさん、ビーズインターナショナルさん、JAPAN WALLSさんのご協力によって実現した!Kevin Lyonsさんが描くカラフルでエネルギッシュなモンスターたちは、多様性と包括性に満ち溢れ、ポジティブ!モンスターたちのデザインや色、何よりも性格が表れている表情が素敵で、見ているだけで元気になる。イタズラ好きな子、おっとりしている子、いつも笑っている子、優しい子、食いしん坊・・・色んなモンスターがいる。何かの機会にパペットにしてセサミストリートでマペットたちとも共演してほしいくらいだ。多分だが、ニューヨーク生まれのKevin Lyonsさんは、セサミストリートからもインスピレーションを得ているのだろう。インタビューでは、日本人独自の“かわいい”についても言及してくれた。Kevin Lyonsさんは“かわいい”についてネガティブに捉えてはいないが、実は海外の人は気づき始めている・・・一部中身のない“かわいい”に。ある時、海外の若い観光客が「日本人は何かと“かわいい”と言うけど・・・“かわいい”に中身がないよね。もっと感じることがないのかな」と話していたことを思い出した。確かに、日本人は何かと“かわいい”で済ませたり、ざっくり一括りにまとめることが多く、物事に対してもっと注意深く観察したり、繊細に触れたりして感情や言動にすることが必要だと感じることがある。日本人の想像・創造力、感性、感受性の衰退を意味するものでもある。もちろん“かわいい”が悪いわけじゃない。“かわいい”で済ませたり、ざっくり一括りにまとめたりするのではなく、“かわいい”の中にももっと何かがあるはずで、その何かを感情や言葉で表現したい。そして、Kevin Lyonsさんのモンスターたちを人にも置き換えて考えることで、同じ“ヒト”でもひとりひとりが違うということを知ること、ひとりひとり違う人をそれぞれ愛すること、受け入れることで、もっと同じ人や生物、そして物事への愛が溢れるより良い世界になるはずだ。今回インタビュアーを務めたのは、SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ公式アンバサダーのSeiyaさん(モデル)とIonさん(モデル)。10代の2人は「すごく良いお話を聞くことができて、貴重な体験・経験になった」と感想をコメント。特に日本国の若者たちへのメッセージに感動したようで「“挑戦し続けること”、やろう!」と意気込んでいた。XLARGEとのコラボレーションの経緯や注目ポイント、現在制作中のコレクションについても語ってくれているインタビュー全編映像は、只今編集中。CHALLENGER’S TV beehiveにて近日公開予定!お楽しみに!ご協力いただいたKevin Lyonsさん、XLARGEさん、ビーズインターナショナルさん、JAPAN WALLSさん、ありがとうございました!感謝、