NATIVE SPIRIT(ネイティブスピリット)正木 大の魂=スピリットに迫る—拘らず 特徴を持たせ “しないこと”をする

 
NATIVE SPIRIT®︎(ネイティブスプリット®︎)
© NATIVE SPIRIT Photo by Ryota Isomura

当時購入したファッション雑誌『mono®』のインディアン特集に掲載されていた、ヒトとしてのインディアンの生き方や思想に心を揺さぶられ、インディアンに関する書籍を片っ端から読み漁ることになる。

ある日、ファッション雑誌『mono®』の別号を読んでいると、ネイティブアートの記事と広告に目が留まる。それがNATIVE SPIRIT®(ネイティブスピリット®)の広告と正木大さんの記事だった。何だかわからないが、正木大さんにむしょうに会いたくなり、記事を読んだ翌日にはアポを取り、週末にはギャラリーに足を運んでいた。ギャラリーの入口付近は、空気が重く、入りづらい・・・笑、入り口付近を何往復かして意を決して扉を開けると、そこには正木大さんが。ご挨拶をすると、「いらっしゃい」と笑顔で答えてくれた。しかし、ギャラリーの中の空気も重い・・・当時、10代で耐えられたのは、恐らく私だけだろうというくらいの重さ・・・10代や20代のお客さんもギャラリーに入ってはくるんだけど、すぐに出ていく。笑、まずはギャラリー内の作品をじっくりと拝見させていただき、そのシンプルさや格好良さ、カタチが持つ意味に感銘を受け、当時はまだ16歳でお金もそこまで持っていなかったので、いつか購入したいと決意(その後、アルバイトをして作品を購入させていただいたものの、そのほとんどを親友や友人の誕生日にプレゼントし、自分の手元には1つの指輪しか残らなかった)。正木大さんにはインディアンに関する質問や正木大さんの体験・経験に関する質問を切り出したり、自分が立ち上げようとしていたボランティア組織・活動の話をさせていただいたり、正木大さんはあまり多くを語らないために口数は少なかったが真摯に答えてくれた。飽きることなく、3、4時間は立ちっ放しで話をしたり、聞いたりしていたが、それでも時間が足らず、まだ作品を購入するわけでもなく、ほぼ毎週のようにギャラリーに通った時期もある。16歳という思春期真っ只中、人間形成、個人のアイデンティティも形成される時期に、正誤、善悪、音楽やファッションなどについてもバランス良く教えていただき、正木大さんに良い影響を受け、いまも変わらず尊敬し続けている。現に、当時16歳で立ち上げたボランティア組織の団章やロゴに描かれていた鷲や山、名前や活動そのものにもネイティブピープルの“ヒトとして”の思想が反映され、23歳で立ち上げた会社のロゴもインディアンのドリームキャッチャーがモチーフになった。それは、正木大さんから教わったことからヒントを得たもの。

 

数年ご無沙汰してしまった時期もあったが、もう約19年もお世話になり、長くお付き合いいただいている。昨年は、シンガー/ソングライター/コンポーザー/ギタリスト/元・The Beatles(ザ・ビートルズ)メンバーのSir James Paul McCartney, CH, MBE(ポール・マッカートニー卿)の日本武道館公演を一緒に観賞。初めてお会いした19年前からいままでもロックやパンク、ソウル、ブルース・・・音楽に関する話も聞かせていただいたものの、18年後にSir James Paul McCartney, CH, MBE(ポール・マッカートニー卿)のコンサートを世代を超えて一緒に観賞するとは、お互いに思いもしなかったことだった。感慨深く、良い思い出になった。

今回のインタビューは、あまり多くを語らない(正しくは、ことばにすることや語りすぎることで、真実や本来持つべき意味のちからを奪うことがあるから多くは語らない)正木大さんに勢いでお願いして実現したインタビュー。これでも語っていただいた方だが、SAPIENS TODAY | サピエンストゥデイ(旧・SOUL SAPIENS(ソウルサピエンス))のインタビューにしては少ない方だ。笑、少ないが、一つひとつの答え、一言ひとことに大事なことが凝縮されている。すべての人が受け継ぐネイティブピープル(先住民・祖先)のスピリット、正木大さん、NATIVE SPIRIT®(ネイティブスピリット®)、作品、インディアンのことを少しでも多くのひとに知っていただく“きっかけ”になればと思う。正木大さん、NATIVE SPIRIT®(ネイティブスピリット®)の作品やインディアンに興味・関心がある方は、ギャラリーに足を運んで、実際に見たり、聞いたりしてほしい。作品の制作でお忙しい中にも関らず、快くインタビューを受けてくださった正木大さん、現地で撮影された素晴らしい写真をご提供くださったフォトグラファーの小倉直子さん、毎回素晴らしい写真を撮影してくれるフォトグラファーの磯村亮太くんに心から深く感謝申し上げたい。感謝。

KEYPERSON

©︎ NAOKO OGURA

Dye Masaki|正木 大, Cangleska-wakan(チャングリシカ ワカン)

シルバージュエリーアーティスト/クラフトマン/宝石ターコイズコレクター/NATIVE SPIRIT®(ネイティブスピリット®) オーナー。1988年に高級レザーやオリジナルシルバージュエリーを扱うNATIVE SPIRIT®(ネイティブスピリット®)を創業。縄文の思想を求めてインディアンを訪ねる。1989年にはナバホ族の家族に、1993年にはラコタ族の家族に迎えられ、ラコタ族のミラパシネより名前Cangleska-wakan(チャングリシカ ワカン)=ちからのわ、盾印、パイプを授かる。インディアンの家族に迎えられた数少ない日本人の一人であり、日本国におけるネイティブアートやシルバーアクセサリーの草分け的存在。自身が手掛けるNATIVE SPIRIT®(ネイティブスピリット®)のオリジナルジュエリーは、国内外問わず評価が高い。一般の流通市場では入手困難な宝石ターコイズ“Authentic Natural Gem Turquoise”の取り扱いも得意としており、アメリカ合衆国及び日本国をはじめとする世界中のターコイズ・コレクターから高い支持を得ている。

NATIVE SPIRIT®
ネイティブスピリット®
http://www.native-spirit-trd-pst.com

 

KEYPERSON
 

Naoko Ogura|小倉 直子, Tokahe-naji-win(トカヘ ナジ ウイン)

フォトグラファー。1967年、北海道千歳市生まれ。通信社の写真記者を経て、1994年からフリーランスのフォトグラファーに転身し、雑誌・広告などのメディアでスチール写真を撮影。毎年、夫の正木大とふたりの愛娘と一緒にインディアンの家族を訪ね、旅の間に現地でも写真を撮影している。2000年にラコタ族の家族に迎えられ、ミラパシネより名前Tokahe-naji-win(トカヘ ナジ ウイン)を授かる。

NAOKO OGURA PHOTOGRAPHY
http://www.oguranaoko.com

 

© NATIVE SPIRIT © NAOKO OGURA

 

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