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世界を掴み、ディズニーも認めたカズ・オオモリの才能と信用に迫る—夢を諦めず こうなりたいと思い続け 腐らずにやり続ける

 
Kaz Oomori|カズ・オオモリ
自身が手掛けた映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のポスターについて説明するカズ・オオモリさん © 2017 So Mishima
——アメリカ合衆国ではどのような生活や仕事をしたのでしょうか

仕事は決まっていませんでした。語学留学をしましたが、本来の目的は語学留学ではないので、広告代理店やデザインスタジオ、出版社を自分で調べて、慣れない英語でアポイントメントを取って、日本で作ったポートフォリオを見ていただきました。全然仕事がなくて・・・門前払いでしたよ。その後、ある方のご紹介で、The Minneapolis College of Art and Design, MCAD(ミネアポリス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン)という大学があることを教えていただき、その大学にエントリーしました。目的は、学生としてではなく、仕事をすることが目的なので、まずは大学の教授や講師と知り合いになることから始めました。そして、教授や講師にポートフォリオを見せたら「じゃうちに来ない?」というところに繋がって、在学しながら広告制作会社のデスクをお借りしてインハウスのイラストレーターをしました。

——日本国とアメリカ合衆国のアートやイラスト、仕事の仕方の違いで何か感じることはありましたか

僕がやっているのは、ファインアートではなく、グラフィックアートという分野です。イラストレーションというのはマーケティングありきのアートワークなので、クライアントワークですよね。日本ではクライアントワークで仕事をしていたというのが大きいのですが、まずリスペクトのされ方が全く違います。日本で仕事をしていたときは、悔しい思いをたくさんしました。関東だと出版の仕事が多く、イラストレーターが生活できる環境がありますが、関西は出版社がなく、その代わりに大手企業の本社があるので、広告の仕事が多いのです。そうなると、アートディレクターが有名なイラストレーションを持ってきて、例えば酷いのは右手を挙げているのがベースであれば、これを左手に変えたイラストレーションにしてほしいであるとか、顔の表情を変えたイラストレーションにしてほしいであるとか・・・これはオリジナルではなく、真似でしょ?という酷い仕事もたくさんありました。それはリスペクトどころか・・・。海外の仕事では、クライアントさんにとってこういうアートワークだったらベストなのかなというディレクションもやりながらイラストレーションを描いていくと、それを認めていただいて、それがリピートして・・・という感じになっていきます。それが日本とアメリカ、海外の違いだと思います。

——アメリカ合衆国滞在時に手掛けた仕事で一番大きな仕事はどのような仕事でしたか

インハウスでお仕事をしていたときに手掛けたメジャーなアートワークは、Levi’s(リーバイス)の新聞広告やHallmark(ホールマーク)のグリーティングカードのイラストレーションです。でも、これもそんなに個性のある仕事ではなかったですよ。

——個性をどんどん出していきたいという気持ちは次第に強くなっていきましたか

もちろんです。アメリカに来ているということ自体、オリジナルのイラストレーションを確立させていくというのが一つの目的だったので、色々な勉強をしました。

——例えばどのような勉強をしたのでしょうか

ミネアポリス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインでのユニークな授業があるのですが、3つ好きなものを持って来いと言うんですよ。何でも良いんです。あるクラスメイトは、おばあちゃんを連れてきましたし、モーターバイクを持ってきたクラスメイトもいましたし、持ってこれない場合は写真でも良いんです。何でも良いので、僕も色々なものを持っていきました。そして、何でそれが好きかやその持ってきたものの共通点をプレゼンテーションしなければいけないんです。僕が持っていったものの共通点を見たときに、偶然にすべてが赤色でした。教授に「君は赤いものが好きなんだよ」「クラシカルなものが好きなんだよ」「スピード感があるものが好きなんだよ」と分析されるんです。この発想法は面白いと思ったので、自分のオリジナルを確立をさせるために、まずは好きなイラストレーターの作品やイラストレーションのスタイルを3つ探してきて、それを自分なりにミックスして描いていきました。例えば、白熊を描くとします。そのときに、好きなイラストレーター3人のそれぞれの配色、シルエット、レイアウト、画材などでやるとどうなるかという色んなパターンを繰り返して、それを講師に見ていただきました。研究と分析を繰り返した形ですね。研究と分析の仕方を得られたのが、大きかったのかなと思います。

——Kazさんの作品を見ていると赤色が普通の赤色とは違いますよね。ちょっと濃いというか、アメリカンというか、それがすごく印象的でした

凄いですね、それ。ありがとうございます。そうなんですよ、アメリカのクラシックな感じなんですよ。

——赤色やクラシックな感じというのは、アメリカ合衆国にいるときに、それともその前から好きだったのですか

アメリカに行く前からあったと思います。いま思うと、コカ・コーラです。子どもの頃から欧米、特にアメリカのエンターテインメントが好きというのもありましたし、アメリカっぽいコカ・コーラのロゴと色が好きでした。工業高校に通っていたおじさんの家に遊びに行ったときに、おじさんが課題で模写したコカ・コーラのロゴが貼ってあったんです。それを見たときに街の中のビルボードなどで見るコカ・コーラではなく、ポスターカラーで描いたような色が気になったので、おじさんに聞いたらポスターカラーで描いたとのことでした。ポスターカーラーで描けるんだ!?と思いましたし、視覚的に自分がほしいなと思うものは自分で再現することができるんだということも含めて、赤色やアメリカらしさも刷り込まれていたようにも思います。

——もしかしてクリスマスやサンタクロースも好きですか・・・サンタクロースの赤い服装は、コカ・コーラの赤色からきていますよね

大好きです。昔のコカ・コーラのクリスマス・キャンペーンのアートワークやサンタクロースのイラストレーションが大好きです。あのアンティークな感じがたまりませんね。

——アメリカ合衆国でイラストレーターとしての経験を経て、日本国に帰国されます。日本国に帰国してからは、どのような仕事をしましたか

Spider-Man by Kaz Oomori

© 2017 So Mishima


 

©Disney ©Disney/Pixar ™ & © Lucasfilm Ltd. ©2017 MARVEL © 2017 Poster Posse inc. © 2017 Kaz Oomori


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