愛され続けるキース・ヘリングを体感「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」—作品と向き合い、あなた自身が意味を考える
展覧会「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」が東京・森アーツセンターギャラリーで開催されている!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!

キース・ヘリングは、幼い頃に父親と描いた線画が形になっていく面白さに夢中になった。それは、キース・ヘリングだけでなく、世界中の子どもたちが同じで、子どもはみんな言葉よりも先に手を動かす——キース・ヘリングは、その感覚を大人になっても忘れることはなかったという。本章では、《赤と青の物語》と彫刻作品が子どもの目線で展示されている。また、会場では子ども用ワークシート(無料)が枚数限定で配布されており、作品とワークシートを見ながらお話を考えたり、作品について考えたりしながら本展を楽しむことができる。ワークシートは、本展公式サイトからもダウンロード可能。
第6章 Present to Future

《イコンズ》 1990年/シルクスクリーンにエンボス加工、紙/53.5×63.5cm/中村キース・ヘリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation
キース・ヘリングは、17点による《ブループリント・ドローイング》を「ニューヨークでのはじまりを啓示するタイムカプセル」だとテキストに残している。一点一点に解説は付けられていないが、資本主義に翻弄され、不平等さや争いがはびこる社会、テクノロジーが人間を支配するような未来がモノクロームでコミックのように淡々と描写している。キース・ヘリングの多くの作品同様、この作品も見る者が作品と向き合い、個々の現実に照らし合わせ、意味を考えることを促している。最後の個展に出品された大作《無題》も、《イコンズ》に描かれた世界中で愛されている光り輝く赤ん坊(通称 ラディアント・ベイビー)も、鑑賞する人の数だけ意味が生まれる。現在を未来として描き、未来を現在として描いたキース・ヘリングの思いは、没後30年以上経ったいまでも歴史と共に巡っている。

《ブループリント・ドローイング》 1990年/シルクスクリーン、紙/中村キース・ヘリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

《ブループリント・ドローイング》 1990年/シルクスクリーン、紙/中村キース・ヘリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
1980年12月から翌年1981年1月にかけて制作したドローイング作品を、亡くなる1ヶ月前の1990年1月に版画で再制作した17点のシリーズ。漫画のコマのような画面に点在する風景や人物、UFO、吠える犬などのイメージが性の解放やテクノロジーの発達、暴力や戦争などを連想させ、ストーリーを形成するかのように組み合わさっている。複雑なテーマに真正面から向き合い、性的なイメージを避けることなく描写しながらも、ほかの多くの作品同様に本作品もキース・ヘリング自身による解説は残されておらず、解釈は観る者に委ねられている。本展では、暗闇に浮くように展示されており、キース・ヘリングの宇宙(世界観)を感じることができる。

《無題》 1988年/アクリル、キャンバス/305×264×10.5cm/中村キース・ヘリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
展覧会「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」は、Keith Haringの作品約150点が集結。Keith Haringの活動初期を語る上で欠かせない重要な作品であるSubway Drawingも日本国初公開を含む保存状態の良い7点が公開されている。Keith Haringは自身を開放・解放し、アートを日常に拡散させたことで、作品を見る者が新たな解釈や意味を考え作品に与える——作品を通してKeith Haringと見る者、そして見る者同士がコミュニケーションを取る=影響を与え合う。彼が目指したヴィジュアルコミュニケーションを本展でも体感することができる。彼の開放・解放、開放感・解放感のある作品は、あなたに安心感や共感も与えるだろう。本展のスペシャルコンテンツとして、「ヘリングの時代」をテーマに藤原ヒロシ氏によるスペシャルプレイリストがSpotifiで公開されている。Keith Haring氏がジャケットを手がけたDavid Bowie氏のシングル「Without You」やPeech Boysのシングル「Life is Something Special - Special Edition」、さらにはKeith Haringが体にペインティングをしたGrace Jones女史の「I’m Not Perfect (But I’m Perfect For You」なども!本展と併せてチェックを!本展の内覧会に出席したSAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ公式アンバサダーの安西凌河さん(学生)は、本展について「1970年代、1980年代って良いですよね!そんな時代に活躍したキース・ヘリングの世界観とメッセージに深く触れることのできる展覧会でした!サブウェイ・ドローイングをまとめて見ることができるのもとても貴重です。キース・ヘリングの描写も展覧会の展示の方法もユニークで、普段アートに触れていない人でも飽きることなく最後まで楽しむことができると思います。グッズもとても豊富、どれも可愛くて僕も買わせていただきました!素敵な思い出を持ち帰ることができました」と感想をコメントした。Keith Haringとは何者か——彼のメッセージとは——ぜひ、会場で体感してほしい!