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愛され続けるキース・ヘリングを体感「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」—作品と向き合い、あなた自身が意味を考える

展覧会「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」が東京・森アーツセンターギャラリーで開催されている!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!

 
Keith Haring Art to the Street|キース・ヘリング展 アートをストリートへ
SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ公式アンバサダーの安西凌河さん(学生)の背後には《キース・ヘリング》ツェン・クウォン・チ/1987年 Keith Haring Artwork ©︎ Keith Haring Foundation ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

社会の無関心を告発するために1989年に制作した《沈黙は死》。このタイトルはHIV・エイズ予防啓発運動団体 ACT UP(AIDS Coalition to Unleash Power)が製作したポスターのキャッチコピーから転用されたもので、中央にあるピンクの三角形はナチスの強制収容所で同性愛者の男性につけられたピンクの逆三角形のバッジがもとになっており、これを同性愛差別に対する抵抗を示す上向きの三角形に図案化した。ナチスの逆三角形は、同性愛者が社会で最も卑しい集団であることを象徴していたが、キース・ヘリングはこの図案を作品に取り入れ、LGBTQ+コミュニティの偉大さと、偏見により命を落とした人々への追悼を示した。「悪を見ず、悪を語らず、悪を聞かない」のドナルド・レーガン政権に対して、この三角形は「エイズ」の可視化を訴えている。

KEITH HARING Art to the Streets|キース・ヘリング展 アートをストリートへ

《楽しさで頭をいっぱいにしよう!本を読もう!》 1988年/オフセット・リトグラフ、光沢厚紙/81.5×61cm/中村キース・ヘリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation

Keith Haring Art to the Streets|キース・ヘリング展 アートをストリートへ

「楽しさで頭をいっぱいにしよう!本を読もう!」 1988年/オフセット・リトグラフ、光沢厚紙/81.5×61cm/中村キース・ヘリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

1988年にNew York Public Library(ニューヨーク公共図書館)の依頼で識字率の向上のために制作したポスター「楽しさで頭をいっぱいにしよう!本を読もう!」は、愉快でシンプルなイメージでメッセージを伝える。多様な人種・民族で形成されるニューヨークでは、英語を身につけることに課題を抱える人も多く、日常生活での支障だけでなくコミュニティからの疎外など、生きる上で多くの困難が生じていた。そうした社会課題に対して、ビジュアルメッセージを用いて解決を促す本作には、ポジティブな投げかけにより社会を変えようとするキース・ヘリングの一貫した姿勢が感じられる。

Keith Haring Art to the Streets|キース・ヘリング展 アートをストリートへ

《セーフ・セックス!》 1987年/オフセット・プリント、厚紙/中村キース・ヘリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

Keith Haring Art to the Streets|キース・ヘリング展 アートをストリートへ

《ヒロシマ 平和がいいに決まってる!》 1988年/オフセット・リトグラフ、紙/中村キース・ヘリング美術館蔵 Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

 

Keith Haring|キース・ヘリング第5章 Art is for Everybody

アートを富裕層にだけではなく大衆に届けたいと考えたキース・ヘリングは、地下鉄での活動に始まり、自身がデザインした商品を販売する“ポップショップ”といったアート活動を通して、子どもから高齢者まで、多くの人々とのコミュニケーションを可能にしてきた。《赤と青の物語》は、絵画の連なりから1つのストーリーを想像する、子どもたちだけでなく大人にも訴えかける視覚言語が用いられた代表的な作品。また、赤、黄、青といった原色を使い、平面の形を立体に立ち上げた彫刻作品はシンプルで万人とコミュニケーションできるアートと言える。キース・ヘリングは、彫刻や壁画などを世界の都市数十ヶ所でパブリックアートとして制作。そのほとんどが子どもたちのための慈善活動だった。数々の絵本が出版され、その絵本はいまでも親しまれており、キース・ヘリングが発信したアートは、大衆に届けられ続けている。

Keith Haring Art to the Streets|キース・ヘリング展 アートをストリートへ

第5章「Art is for Everybody|アートはみんなのために」の会場の様子 Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

子どもたちのために作られた20枚からなるシリーズ《赤と青の物語》。キース・ヘリングは、はじめに赤と青の抽象的な図形を描き、そのあとで大胆な黒の線を加えて「3匹の子ぶた」や「ハンプティ・ダンプティ」を彷彿とさせるキャラクターなどを描いた。最後には赤と青が混ざり人の手に握られた卵の形になる。感覚でとらえられるストーリーのない絵本ともいえるが、一点一点が独立した作品となっている。このシリーズは、1点のみや、20点すべてを使って物語を考えることを目的としており、アメリカ合衆国の学校やこども美術館が物語創作コンテストで使用するなど、教育プログラムにも取り入れられている。

 

All Keith Haring Artwork ©︎Keith Haring Foundation ©︎ Keith Haring Foundation. Licensed by Artestar, New York.
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展覧会「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」は、Keith Haringの作品約150点が集結。Keith Haringの活動初期を語る上で欠かせない重要な作品であるSubway Drawingも日本国初公開を含む保存状態の良い7点が公開されている。Keith Haringは自身を開放・解放し、アートを日常に拡散させたことで、作品を見る者が新たな解釈や意味を考え作品に与える——作品を通してKeith Haringと見る者、そして見る者同士がコミュニケーションを取る=影響を与え合う。彼が目指したヴィジュアルコミュニケーションを本展でも体感することができる。彼の開放・解放、開放感・解放感のある作品は、あなたに安心感や共感も与えるだろう。本展のスペシャルコンテンツとして、「ヘリングの時代」をテーマに藤原ヒロシ氏によるスペシャルプレイリストがSpotifiで公開されている。Keith Haring氏がジャケットを手がけたDavid Bowie氏のシングル「Without You」やPeech Boysのシングル「Life is Something Special - Special Edition」、さらにはKeith Haringが体にペインティングをしたGrace Jones女史の「I’m Not Perfect (But I’m Perfect For You」なども!本展と併せてチェックを!本展の内覧会に出席したSAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ公式アンバサダーの安西凌河さん(学生)は、本展について「1970年代、1980年代って良いですよね!そんな時代に活躍したキース・ヘリングの世界観とメッセージに深く触れることのできる展覧会でした!サブウェイ・ドローイングをまとめて見ることができるのもとても貴重です。キース・ヘリングの描写も展覧会の展示の方法もユニークで、普段アートに触れていない人でも飽きることなく最後まで楽しむことができると思います。グッズもとても豊富、どれも可愛くて僕も買わせていただきました!素敵な思い出を持ち帰ることができました」と感想をコメントした。Keith Haringとは何者か——彼のメッセージとは——ぜひ、会場で体感してほしい!

 
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