トンコハウス・堤大介の「ONI展」がPLAY! MUSEUMで開幕—空間演出で物語や空気感、光と闇、音を体感する新感覚展覧会
長編アニメーション『ONI ~ 神々山のおなり』を体感できる展覧会がPLAY! MUSEUMで開幕した!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!
トンコハウスと堤さんは、単なる3DCGアニメーションの形ではなく、随所に手仕事が感じられるようなものづくりをされています。展覧会で見せるときには、“美しい温度感や質感を表す映像を、展覧会で体感してもらうためにはどうしたらいいか”という着想から空間表現を考えていきました。様々な日本の職人さんにもご協力いただきました。スクリーンとして使った手漉き和紙を山形県「紙屋 作左ヱ門」さんに、骨格づくりを新潟県三条六角凧職人「須藤凧屋」さんにお願いしました。昔ながらの竹ひごで作られた提灯は、岐阜県の提灯職人の方々の手作りです。子どもたちには、自然から生まれる昔ながらの手仕事を見て、体感して、日本の美しさを感じてほしいと思っています。スクリーンとして和紙を使ったのも、和紙の風合いを映像を見ながら感じてもらえたらという思いからです。前半から中盤にかけては会場に所々散りばめた日本の本物のものづくりを感じる展示、中盤から後半にかけてはトンコハウスがたどってきた手仕事を感じる展示というストーリーを考えながら展示ができています。
堤大介監督は、Ch.1-1「神々を照らす光」について「今回の作品を作るときに、モデルにした屋久島にロケハンに行って、そこで感じた精霊が住んでいるような日本独特の自然の表現に力を入れました。僕らが存在しているハリウッドの映画づくりの世界では、こういうシーンは予算やスケジュールの問題で「こういうシーンはいらない」「お話に関係ない」と、最初にカットされてしまうんですよ。今回、自分が監督をやらせてもらって、Netflixさんが自由に作らせてくれたので、こういう情景をたくさん入れました。アメリカでは「この部分でslow(スロー)だね」という人もいて、普通であればここを早送りする人もいるくらいです。でも、そこをあえて“これが素晴らしい”と展示にしてくださったことが嬉しくてですね。日本の作品をつくるときに、日本のこの空気感や光、音はものすごく大事じゃないですか。これだけは日本人にしかわからない部分があると思うんですね。日本人にしかわからないからこそ、日本の外の人たちにこれを感じてほしくて、あえて拘ってすごく時間をかけて作った部分なんです。それを一番最初にイントロダクションとして展示してくださっているのは、流石だなと思いましたし、僕が求めているものと通ずるものがありましたので、とても嬉しかったです。ぶら下がっている和紙が少し揺れているんですね。これを最初見たときに「これ、演出ですか?」って聞いたんですけど、空調でたまたま偶然に揺れているらしいんです(笑)。めちゃくちゃ映像と合ってるじゃないですか!映像の中にある風とか、水の揺れとか、光の揺れ方とマッチしているので、すごく素敵に作っていただけていると思いました」と感想を語った。
草刈大介 ≫ 展覧会は、大きく分けると3つのセクションになっています。1つ目のセクションが、アニメーションを体感する大きなセクションです。2つ目のセクションが、3DCGアニメーションがどのようにできたか資料や映像などで紹介するメイキングです。3つ目のセクションは、特別に長編アニメーション『ONI ~ 神々山のおなり』や短編アニメーション『ダム・キーパー』などを楽しむことができる特設シアターです。1つ目のセクションは、5つのエリアで構成されいて、緩やかにストーリーを追いかけています。来場者がもらえる特典“ハンドアウト”に大まかなストーリーやキャラクターが書いてあるので、会場の中にはテキストはありません。いらしていただいた方々は、ひたすら映像を見たり、聞こえてくる音を聞いたりする展示です。1つ目と2つ目は、物語の前半部分、明るい世界です。堤さんがよく言われていることは、“光と闇”。その2つを対照として取り上げていて、物語のテーマや映像表現の軸・キーワードになっています。これらのエリアには、日本各地で作られた鬼のお面が飾られています。これらを見ることで、『ONI』は21世紀に、つい最近アメリカで出来上がった鬼を題材にした作品ですけど、日本ではもともとあちこちに鬼がいて、その長い歴史の中の1つの表れとして、今回の作品もあることに気づいてもらえたらと思います。 | 菱川勢一 ≫ ここは、イントロダクション的に、まずは今回の『ONI』の作品の中で美しく描かれている情景や音を感じていただきたいという思いで作られているエリアです。大きなスクリーンでは『ONI』(のストーリー)を歩きながら見て感じてもらう、ぶら下がっている和紙のスクリーンでは和紙の風合いを感じながらじっくりと『ONI』の情景を見ていただくようになっています。既に作品をNetflixでご覧になった方も、改めてこういう切り口で切り出された情景を再発見・再認識と言いますか、ここで新たに見つけてほしいなと思っています。そして、鬼のお面がたくさん飾られていますが、情景を感じた後に、少しずつ鬼の存在に入っていく1つのイントロダクションです。実存していた鬼のお面を日本各地から集めてきました。武蔵野美術大学 美術館・図書館 民俗資料室の協力を得てお借りしてきた貴重な品物です。これだけたくさんの鬼(のお面)が、日本各地で民芸として作られ残っていました。僕らが考えている鬼とはまったく違うような、どこか愛らしい、どこか可愛らしい、そういったものを感じられる多様な鬼を知ることができます。提灯もこの辺りから入ってきます。
Ch.1-2 雷神太鼓の轟
Ch.1-2「雷神太鼓の轟」では、「おなり」が憧れる雷神と空を浮遊する雷雲のシーンを壁面の大きなスクリーンで見ることができ、雷の稲妻や轟、雷雲、雷神太鼓の音を全身で体感し、「おなり」・雷神と一緒に空を浮遊しているような感覚を味わうことができる。スクリーンに映し出される雷の稲妻(の光)や雷雲の質感などにも注目して体感しよう!
PLAY! MUSEUMが提案する新しい形の展覧会、長編アニメーション『ONI ~ 神々山のおなり』を体感できるトンコハウス・堤大介の「ONI展」。ものづくり・手づくり感も感じることができる温かみのある空間と演出の中で、『ONI ~ 神々山のおなり』のテーマとなっている”自然”、“光と闇”、“鬼(ONI)とは?”を感じ、考えることができる。内覧会に出席し体験したSAPIENS TODAY|サピエンストゥデイ公式アンバサダーの石森祐矢さんは、「自宅やスマフォ、タブレット、インターネット上では味わえない、特製手漉き和紙に投影された綺麗な映像、会場に響く音、雰囲気を高める照明、日本全国から集められた貴重な鬼・天狗のお面や凧、さらには本展のために再現された戻り橋や祭りやぐらなどの空間演出によって『ONI ~ 神々山のおなり』の世界観が見事に作られ、作品の中に入り込んだかのような感覚になり、“鬼(ONI)”を感じ、“鬼(ONI)とは?”を考えやすかったです。メイキングの貴重な資料も必見です!」と感想をコメント。近日、今年2023年から新たにスタートしたプロジェクトの第1弾として、堤大介監督にフォーカスしたポートレート写真とインタビューも掲載予定!お楽しみに!