深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」が上野の森美術館で開幕—人生と生活の中から生まれた遊び心あふれる“深堀金魚”の全貌に迫る
本物と見間違えるくらいリアルな金魚(絵)を描く現代美術家 深堀隆介氏の展覧会が、東京・上の森美術館で開幕した!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!
ありとあらゆる様々な素材の支持体の中でも、深堀隆介が愛用していた陶器のコーヒーカップや青いプラスチックのたらい、小鉢、まな板、アパレルブランドOld Summer(オールドサマー)プロデューサーの高村洋平が履いていたNike(ナイキ) x Off-White(オフホワイト)のスニーカー、女優の中村梓からの贈り物である輪島塗のお椀、発掘されたササン朝ペルシャ時代の陶器など、身近な日常生活の中にあるものに金魚を表現し、作品にしているのもわかる。
一合枡の中で金魚が泳ぐ『金魚酒』シリーズや木桶の中で金魚が泳ぐシリーズでは、金魚絵だけではなく、春夏秋冬の花や葉、水中の藻や苔などの植物の絵も本物と見間違えるくらい写実的で立体的に描き、日本国の金魚と春夏秋冬の美しさ、日本人の美意識を表現。そして、金魚絵や植物の絵が入っている水や水の流れ、気泡も透明樹脂でリアルに表現している。
深堀隆介は、自身の人生と生活の中のリアルや、身近なものから金魚絵を生み、今度は作品として手にした人の人生と生活を楽しませ、癒している。
第5章 2.25D — 表面と深さのはざまで
日々試行錯誤し、新たな表現を模索し続ける深堀隆介。桐材の上に樹脂とアクリル絵の具を何層も重ねて写実的で立体的な金魚絵を描いたシリーズや、拾った空き缶に金魚絵を描き、その日の記録を紙に記したシリーズなど、常に挑戦をし続けて創作をしている姿が浮かび、表現の幅を広げていることがわかる。
大型の作品『方舟2』は、6つの四角い木枠・箱で構成され、それぞれに金魚や出目金などさまざまな種が泳ぎ、“深堀金魚”の“ノアの方舟”とでも言えよう。金魚や出目金などが群れで円を描がくように泳ぐ刹那の表現は、圧巻である。
本物と見間違えるくらいリアルな金魚絵はもちろんだが、何よりも深堀隆介さんに感動する。深堀隆介さんとお話しをさせていただくと、真摯で、常に誰かを楽しませよう、誰かに楽しんでもらおうと、そんな気持ちがまっすぐに伝わってくる。そういう気持ちが作品にも表れ、世界中の多くの人々の美意識にも触れる、生命力あふれる神秘的な金魚絵となるのだろう。そして、どんなときも遊び心を忘れず、自身の人生や生活の中のリアル、身近から作品を生み続ける天才であり、アーティスト、エンターテイナーである。深堀隆介さんという“ひと”にもっと興味・関心が湧き、お話を伺いたいと思った。今回初登場の公式アンバサダーでもある加藤倖都さんも深堀隆介さんに会い、その情熱や作品に触れたことで良い刺激になり、感じたことや学んだことがたくさんあったようだ。是非、みなさんも“深堀金魚”を観に上野の森美術館へ!