深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」が上野の森美術館で開幕—人生と生活の中から生まれた遊び心あふれる“深堀金魚”の全貌に迫る
本物と見間違えるくらいリアルな金魚(絵)を描く現代美術家 深堀隆介氏の展覧会が、東京・上の森美術館で開幕した!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!
金魚をテーマに創作する現代美術家 深堀隆介の個展・深掘隆介展「金魚鉢、地球鉢。」が、2021年12月2日(木曜日)に東京・上野の森美術館で開幕した。
器や箱などの中に透明樹脂を流し込み、その固まった表面にアクリル絵の具で金魚を部分的に描いていき、さらにその上から透明樹脂を重ね、固まった透明樹種に金魚を部分的に描いていくという工程を繰り返すことで平面の絵が重なり合い、透明樹脂で表現された水の中でまるで生きているかのような圧倒的な立体感と躍動感あふれる金魚(絵)を生み出す独自の斬新な手法・技法“2.5D Painting”で創作を続ける深堀隆介の個展が開幕。本展の開幕に先駆け、12月1日(水曜日)にマスコミ・報道関係者向けの内覧会が開催され、深堀隆介が挨拶の中で独自の手法・技法について「思いついたとき、金魚が生きている、いのちを吹き込まれて金魚が泳ぎ出すような不思議な感覚があったんですよ。最初は(樹脂に)プリントを入れていたのですが、それでは面白くないと思って描いてみた。だけど、油でできている樹脂と、水で溶くアクリル絵の具、水と油は絶対混ぜてはいけないと、やっちゃいけないことだと勝手に思っていてタブーな感覚があったんですけど、やってみたところ成功したというのが本当のところです」と新たな挑戦が独自の手法・技法にたどり着いた経緯を説明。そして、作品の変遷ついて「昔のものはなくなってしまったんですけど、今回は17年くらいの変遷を見ることができるようになっています。どんどん立体感も増しますし、樹脂も途中で変わりますし、絵の具も途中で変わります。いまでも試行錯誤をしながらやっているので、この技法は完成していません。僕が考え出した、編み出したものなので途中で変わりますし、いまも発展途上の技法であって、後100年もしないかもしれないですけど、後世に残して誰かがまた発展させて完成していったらいいなと思います」と未来の展望も語った。本展では、新作も展示されていることから「アニメのような金魚も出てきます。キャラクター的に金魚を描いて樹脂を流したときに、キャラクター的な金魚が不思議と動いて見えたんですよ。動いて見えるということは、これは一種のアニメーションじゃないかなと、そんな感覚がありました。最後の部屋は、インスタレーションですけど、アニメ調の金魚と金魚屋さんを模した屋台があります。その中には、地球をイメージしたミラーボールがあります。ミラーボールが1周すると風鈴が鳴って1日を表しています。新たな挑戦としてやっているので、それも楽しんでいただけたらと思います」と新作にも自信を覗かせた。
本展は、今年3月に長崎・長崎県美術館での開催を皮切りに、岩手、高知、兵庫と巡回し、最終開催地・東京の美術館では初めてとなる深堀隆介の本格的な個展。第1章「樹脂との格闘/進化する技法」、第2章「2D—平面に挑む」、第3章「遍在する金魚たち1—支持体、形式の探求」、第4章「遍在する金魚たち2—日常の景色とともに」、第5章「2.25D—表面と深さのはざまで」、第6章「新展開—生まれつづける金魚たち」で構成。創作初期の作品から最新の作品まで、絵画や立体作品、インスタレーションなど約300点が展示され、深堀隆介の創作・表現の全体像と“深堀金魚”と称される金魚絵の変遷をたどることができる。
ここで、深堀隆介展「金魚鉢、地球鉢。」の全貌と見どころをご紹介する。
深堀 隆介|Riusuke Fukahori
深堀隆介は、日本国有数の金魚の産地で知られる愛知県弥富市出身。ある日、創作活動に行き詰まって美術をやめようとしたとき、7年前に出店の金魚すくいですくい、部屋の水槽で飼っていた1匹の金魚をふと見て、“金魚の持つ神秘性”に気づき、魅了される。「この子がきっと僕を救ってくれる」と、金魚をテーマに創作活動をスタート。深堀隆介は、これを“金魚救い”と呼ぶ。器や箱などの中に透明樹脂を流し込み、その固まった表面にアクリル絵の具で金魚を部分的に描いていき、さらにその上から透明樹脂を重ね、固まった透明樹種に金魚を部分的に描いていくという工程を繰り返すことで平面の絵が重なり合い、透明樹脂で表現された水の中でまるで生きているかのような圧倒的な立体感と躍動感あふれる金魚(絵)を生み出す独自の斬新な手法・技法“2.5D Painting”を考案。国内はもちろん、世界的にも高い評価を受け、注目されており、近年ではライブペインティングやインスタレーションにも力を入れるなど、表現と活動の幅を広げている。
本物と見間違えるくらいリアルな金魚絵はもちろんだが、何よりも深堀隆介さんに感動する。深堀隆介さんとお話しをさせていただくと、真摯で、常に誰かを楽しませよう、誰かに楽しんでもらおうと、そんな気持ちがまっすぐに伝わってくる。そういう気持ちが作品にも表れ、世界中の多くの人々の美意識にも触れる、生命力あふれる神秘的な金魚絵となるのだろう。そして、どんなときも遊び心を忘れず、自身の人生や生活の中のリアル、身近から作品を生み続ける天才であり、アーティスト、エンターテイナーである。深堀隆介さんという“ひと”にもっと興味・関心が湧き、お話を伺いたいと思った。今回初登場の公式アンバサダーでもある加藤倖都さんも深堀隆介さんに会い、その情熱や作品に触れたことで良い刺激になり、感じたことや学んだことがたくさんあったようだ。是非、みなさんも“深堀金魚”を観に上野の森美術館へ!