特別展『国宝 鳥獣戯画のすべて』が東京国立博物館で開幕—鳥獣人物戯画全4巻全場面44メートル超と名刹 高山寺の名宝を一挙公開
国宝 鳥獣人物戯画の全巻全場面を鑑賞することができる特別展『国宝 鳥獣戯画のすべて』が開幕した!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!
どの動物も無駄な動きがなく、絵巻という舞台の中でそれぞれの役割を演じている。前半と後半では、線描や動物の表情が異なり、別の作者によって描かれているようなので、比較してほしい。甲巻の一部は、東京国立博物館史上初の試みとなる“動く歩道”に乗ってゆっくり間近で作品を鑑賞することができる。
国宝 鳥獣人物戯画 乙巻
乙巻は、動物図鑑のようになっており、当時の日本国にも生息していたとされる犬や鷲、鷹、鶏など、当時の日本国には生息していない虎や豹、山羊など、実在しない空想上の霊獣である龍や麒麟、獅子、貘など、16種類の動物が植物や風景と一緒に写生的に描かれている。
甲巻のように擬人化された動物は登場しないが、甲巻後半と共通する点があるので、比較して共通点を見つけてほしい。
国宝 鳥獣人物戯画 丙巻
丙巻は、前半が人物戯画、後半が甲巻同様に動物が擬人化された動物戯画からなる。人物戯画には人間による囲碁、双六、将棋、耳引き、首引き、目くらべ、腰引き、闘鶏、闘犬などの勝負事が描かれている。動物戯画には、擬人化された動物による競馬、蹴鞠、祭礼、猿と蛙の験競べなどが描かれている。
前半と後半で主題が異なる点は、いまだに解明できていない鳥獣人物戯画の謎の1つ。人物戯画と動物戯画は、料紙の表裏に描かれており、表面と裏面を剥がしてつなぎ合わせる“相剥ぎ”という技術が使われていることが、近年の修理に伴う調査で判明した。表と裏では、制作年代・時期、絵師(作者)も異なる可能性が高いという。また、平安絵巻にも通ずる要素が見られ、制作は平安時代をさかのぼる可能性が高いようだ。
特別展『国宝 鳥獣戯画のすべて』の開催に先駆け、東京国立博物館が秘仏・重要文化財 明恵上人坐像をCTスキャンで調査したところ、内部に約30cmの巻物が納入されていることが判明した。新たな発見で、また歴史が動きそうだ。国宝 鳥獣人物戯画は、擬人化された動物や当時の人々の営みの中にもユーモアを感じることができ、写生的に描かれた空想上の龍や麒麟、獅子、貘などの格好良さにも感動してしまう。そして、当時もいまもそんなに変わらない人や擬人化された動物の仕草、営みの光景などにホッとする。日本美術はもちろん、イラストレーションやマンガ、広告などクリエイティブに携わる方、携わろうとしている方も、国宝 鳥獣人物戯画から学べることがある。必見!グッズは、高山寺公認の兎と蛙のぬいぐるみがインパクト大!国宝 鳥獣人物戯画の動物がプリントされたバッグやマスクなどもお洒落!最後に、SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイの読者のみなさまとCHALLENGER'S TV beehiveの視聴者のみなさまにお願いがあります。記事にもありますように、2018年の台風21号、2020年の豪雨により世界遺産 栂尾山 高山寺さんも甚大な被害を受け、いまも復旧作業が続けられていますが、完全な復旧・復興が困難な状況のようです。高山寺境内の復旧・復興をご支援いただけます方は、《ゆうちょ銀行 四四八支店 支店コード:448 口座番号:3250841 口座名義:栂尾高山寺(トガノオコウサンジ)》まで、ご寄付を直接ご送金いただければ幸いです。世界遺産 栂尾山 高山寺さんへのみなさまからの温かいご支援とご協力をお願いいたします。