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がまくんとかえるくん誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展が開幕—ぼくらはどこまでもそれぞれ一人ひとり そしていっしょ

“がまくんとかえるくん”シリーズで知られる絵本作家のアーノルド・ローベルの展覧会が日本国で初めて開催されている!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!

 
企画展『「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展』
©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

加藤久仁生は、かえるについて「動物全般は好きで描くのは好きなのですが、かえるだけが大の苦手で・・・幼稚園のとき、一人でルンルン気分で帰っている途中、坂を登って角を曲がったところにヒキガエルが積み重なった状況に出くわし・・・どうやら交尾をしていた状況らしいのですが、いきなりそのグロテスクな状況を見た瞬間に全身の血の気が引いて気持ちの落差が起こってトラウマになっちゃって・・・その後、その道を通れなくて、迂回して帰ろうとしたら迷子になって母親に迎えにきてもらい・・・いまでも忘れられない状況になったのが原因でかえるが苦手になったんじゃないかと思っているんですが。そんな人間が描いているんです・・・」と、かえるが苦手なことを明かし、アニメーション映像化については「絵本を映像にするのはすごく難しいことで、絵本を読むときに想像力を使う楽しさをなるだけ失わないように映像化しました。絵本の雰囲気を残しつつ、絵本の絵を動かすということではなく、アニメーションで魅せる良さというのもあります。絵本のエピソード1つをアニメーション化するのは最初に違うと感じたので、2人の何気ない日常を細かく動かすことで、また絵本に戻ったときに想像力を膨らませる少しの助けになるように表現しました。がまくんとかえるくんのイメージは、ゆったりとした時間が流れているイメージがあり、どちらもボケがすごいのですごく好きです。作る前にローベルさんの8ミリフィルムを見させてもらい、ローベルさんがひょうきんでユーモア溢れるような人だと感じ、がまくんとかえるくんにもコミカルさを入れられるんじゃないかと思いました。動きの段階ではシャーペンで描いているので、再現までいかないんですけど、モノクロの感じやえんぴつのタッチは生かせたと思います。そこにどう色をつけるかが難しいところでした」と、絵本の登場キャラクターをアニメーション映像化する難しさや制作についても触れて語った。

アニメーション映像には、加藤久仁生が描いた約2000枚以上の絵が使用されている。アーノルド・ローベルも生前にたくさんのスケッチを描いていたこととや、加藤久仁生が表現したアーノルド・ローベルの人柄も重なり、もしアーノルド・ローベルがアニメーション映像を手掛けていたら、というのも想像することができる。アニメーション映像『一日一年』は、ほっこり温かくて優しい。そして、自然と笑みがこぼれ、何時間でも、何度でも観ていられるくらい素晴らしい作品である。加藤久仁生の天才ぶりが十分に発揮された作品といっても過言ではない。

がまくんとかえるくんシリーズを聞こう

企画展『「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展』

©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

企画展『「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展』

『ふたりは いつも』(1976)表紙原画 Courtesy of the Estate of Arnold Lobel. © 1976 Arnold Lobel. Used by permission of HarperCollins Publishers. ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

がまくんとかえるくんの世界にある池に見立てたじゅうたんが敷いてあり、ここではモデル/エッセイスト/ラジオ・パーソナリティの華恵による1979年刊行の絵本『ふたりは きょうも』「Alone」(邦題「ひとりきり」)の日本語と英語の朗読音声が流れている。華恵は、朗読について「音読って、面白いです。声に出して読んで初めて、この絵本の奥深さ、難解さに気付きました。兄や母に、「ここはどんな気持ちだと思う?」と聞いたりもして、久しぶりにこんなに物語を読み込んだ気がします」とコメントしている。アーノルド・ローベルがお話を作るときには、お話にぴったりな言葉がみつかるまで何度も声に出して読んだそうだ。子どもも若者も大人もみんなで一緒にじゅうたんの上に座って、アーノルド・ローベルのお話に耳を傾けよう!

がまくんとかえるくんシリーズを読もう

企画展『「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展』

©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

絵本に関する展覧会では、原画やレイアウト、スケッチなどが展示されている付近で絵本も読めるように設置されているが、本展覧会では展示の情報量が多いため、ゆっくり読むことができるように一番最後にまとめて絵本が設置されている。展示を観終わった後にゆっくり絵本も読もう!

 

Organized by The Eric Carle Museum of Picture Book Art, Amherst, Massachusetts, United States. Courtesy of The Eric Carle Museum of Picture Book Art, © The Estate of Arnold Lobel.
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アーノルド・ローベル展は、絵本に関するここ最近の展覧会の中でも上位をいく素晴らしい展覧会!Arnold Lobel氏のことを知る、貴重な原画やレイアウト、スケッチでお話を読んでいくという贅沢な体験はもちろん、特に加藤久仁生氏が手掛けた“がまくんとかえるくん”史上初のアニメーション映像は、本当に何時間でも何度でも見ていられるくらい天才的な作品だった。小学生の頃に読んだ「おてがみ」も懐かしく、久々に読んで温かい気持ちに!当時はただの国語の教科書と授業としか思わなかったけど、この年になって改めて読むと、素晴らしい作品だということに気付く。いま、世界的な新型コロナウイルスによる感染症のパンデミックや日本国政府による新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言によって外出自粛などの制限を強いられている中で、色々なことを考え、悩み、孤独、淋しさ、不安を感じている方も多いと思うが、そういう方も是非、感染予防対策をして、また無理をせずに緊急事態宣言解除後にでもアーノルド・ローベル展に足を運んでほしい。きっと、ほっとし、ほっこり温かく優しく穏やかな気持ちになり、勇気づけられ、元気になるはず!そして、Arnold Lobel氏と同じ時期に創作活動を続けた『The Very Hungry Caterpillar』(邦題『はらぺこあおむし』)でも知られるEric Carle氏の常設展『エリック・カール 遊ぶための本』、アーノルド・ローベル展に関連したワークショップも開催されているPLAY! PARKも併せて楽しんでね!

 
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