がまくんとかえるくん誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展が開幕—ぼくらはどこまでもそれぞれ一人ひとり そしていっしょ
“がまくんとかえるくん”シリーズで知られる絵本作家のアーノルド・ローベルの展覧会が日本国で初めて開催されている!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!
グラフィックデザイナーの菊地敦己は、「絵本のオリジナルはあくまでも絵本なんですね。絵本のために書かれた版下と言われる原画のようなものは存在するのですが、それは制作過程のものであって、そういうものを展覧会で見せるというのは非常に難しい部分があります。絵本やアーノルド・ローベルのオリジナルの世界というのは素晴らしいのですが、時代でいうとけっこう時間が経っているものではあるので、いま見せるというときに、ただ懐かしむ、回顧的なイメージにとどまらないように気をつけました。ただオリジナルの世界観をここで崩すのは勿体ないので、商品的なキャラクターの扱いではなく、もとにある世界観を大事にしながら、いまの空気をどうやって出したらいいのかというのは悩みました。専門的な話になりますが、白の扱い方というのは自分の中にありました。絵本をご覧になった方はおわかりになると思いますが、アイボリーっぽい紙に刷られていて落ち着いた色の世界観ですが、今回は全体のイメージをリフレッシュさせたいので白っぽい背景にしました。がまくんとかえるくんがメインのコンテンツなので、緑に対して補色のピンクを当てて、イメージのリフレッシュをはかりました。展覧会の什器に段ボールの素材が使われているので、それを拡張した茶色っぽいキャプションにして、付属的な情報というよりは一つのコンテンツとして、作品と並列的に進んでいけるようにしています」と、本展覧会のグラフィックについて説明した。
原画で読むことができる がまくんとかえるくん
本展覧会では、一部のお話の原画やレイアウトの下に日本語に訳されたお話が表示されており、貴重な本物の原画やレイアウトでお話を読むことができる贅沢な体験ができる。また、原画やレイアウトは、カラーではなくモノクロなので、カラーの絵本を読む以上に想像力を掻き立てられる。
アニメーション映像になった がまくんとかえるくん
もしがまくんとかえるくんが動いたら——誰もが想像しなかった“がまくんとかえるくん”史上初のアニメーション映像化が実現した。アニメーション映像は、がまくんとかえるくんのある一日を、冬眠から目覚め季節を謳歌する一年の移ろいと重ねた作品となっており、手掛けたのは2009年に短編アニメーション『つみきのいえ』が第81回アカデミー賞の短編アニメーション賞に輝き、日本人では初めての受賞となったアニメーション作家の加藤久仁生。
アーノルド・ローベル展は、絵本に関するここ最近の展覧会の中でも上位をいく素晴らしい展覧会!Arnold Lobel氏のことを知る、貴重な原画やレイアウト、スケッチでお話を読んでいくという贅沢な体験はもちろん、特に加藤久仁生氏が手掛けた“がまくんとかえるくん”史上初のアニメーション映像は、本当に何時間でも何度でも見ていられるくらい天才的な作品だった。小学生の頃に読んだ「おてがみ」も懐かしく、久々に読んで温かい気持ちに!当時はただの国語の教科書と授業としか思わなかったけど、この年になって改めて読むと、素晴らしい作品だということに気付く。いま、世界的な新型コロナウイルスによる感染症のパンデミックや日本国政府による新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言によって外出自粛などの制限を強いられている中で、色々なことを考え、悩み、孤独、淋しさ、不安を感じている方も多いと思うが、そういう方も是非、感染予防対策をして、また無理をせずに緊急事態宣言解除後にでもアーノルド・ローベル展に足を運んでほしい。きっと、ほっとし、ほっこり温かく優しく穏やかな気持ちになり、勇気づけられ、元気になるはず!そして、Arnold Lobel氏と同じ時期に創作活動を続けた『The Very Hungry Caterpillar』(邦題『はらぺこあおむし』)でも知られるEric Carle氏の常設展『エリック・カール 遊ぶための本』、アーノルド・ローベル展に関連したワークショップも開催されているPLAY! PARKも併せて楽しんでね!