がまくんとかえるくん誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展が開幕—ぼくらはどこまでもそれぞれ一人ひとり そしていっしょ
“がまくんとかえるくん”シリーズで知られる絵本作家のアーノルド・ローベルの展覧会が日本国で初めて開催されている!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!
展示空間を手掛けた建築家/デザイナーの齋藤名穂は、アーノルド・ローベルの作品について「ある意味、今回は回顧展というかアーノルド・ローベルの作家人生を最初から最後まで追っていく展覧会です。最初から段々と絵が変わっていくというよりは、見せたいときに合わせていろんな表情の絵を描いていくのが、同じ“もの”をつくる者として、一人の作家がこんなにも多才な表情を持った描き方をするんだな、こういうつくり方もあるんだなと思いました。一人のアーティストの技術の幅だけではなく、表現するものと見せたいものを理解して、的確に表現したんだと思いました」と、バラエティ豊かなイラストレーションのスタイルに感銘を受けた様子で語った。
がまくんとかえるくんの世界
展示の後半部分は、3つの章で構成され、“がまくんとかえるくん”シリーズ4部作・1970年刊行の絵本『ふたりは ともだち』、1972年刊行の絵本『ふたりは いっしょ』、1976年刊行の絵本『ふたりは いつも』、1979年刊行の絵本『ふたりは きょうも』の原画やレイアウト、スケッチなど約100点以上が展示されている。
トンネルを抜けると がまくんとかえるくんの世界
がまくんとかえるくんの世界に繋がるトンネルの中で、小学校の国語の教科書にも採用されている「おてがみ」(『ふたりは ともだち』(文化出版局)より)をじっくり読むことができる。読み進んでいくうちに、布で表現されたトンネルは段々と小さくなり、布に描かれたアザミの花は段々と大きくなる。来場者もがまくんとかえるくんと同じサイズになって、がまくんとかえるくんの世界に迷い込んで物語に出会う。
段ボールや布で表現された がまくんとかえるくんの世界
三角の多面体を組み合わせた段ボール製展示什器(ケース)や垂れ下がった布は、折り重なった岩や生い茂る大きな葉っぱがあるがまくんとかえるくんの世界を表現。段ボール製のケースでは、原画やレイアウト、スケッチと一緒に来場者に“伝えたい情報”が展示・表示されており、がまくんとかえるくんができるまでや、絵本の出版社とのやりとりを含め、お話と絵をつくる技術・過程が紹介されている。
アーノルド・ローベル展は、絵本に関するここ最近の展覧会の中でも上位をいく素晴らしい展覧会!Arnold Lobel氏のことを知る、貴重な原画やレイアウト、スケッチでお話を読んでいくという贅沢な体験はもちろん、特に加藤久仁生氏が手掛けた“がまくんとかえるくん”史上初のアニメーション映像は、本当に何時間でも何度でも見ていられるくらい天才的な作品だった。小学生の頃に読んだ「おてがみ」も懐かしく、久々に読んで温かい気持ちに!当時はただの国語の教科書と授業としか思わなかったけど、この年になって改めて読むと、素晴らしい作品だということに気付く。いま、世界的な新型コロナウイルスによる感染症のパンデミックや日本国政府による新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言によって外出自粛などの制限を強いられている中で、色々なことを考え、悩み、孤独、淋しさ、不安を感じている方も多いと思うが、そういう方も是非、感染予防対策をして、また無理をせずに緊急事態宣言解除後にでもアーノルド・ローベル展に足を運んでほしい。きっと、ほっとし、ほっこり温かく優しく穏やかな気持ちになり、勇気づけられ、元気になるはず!そして、Arnold Lobel氏と同じ時期に創作活動を続けた『The Very Hungry Caterpillar』(邦題『はらぺこあおむし』)でも知られるEric Carle氏の常設展『エリック・カール 遊ぶための本』、アーノルド・ローベル展に関連したワークショップも開催されているPLAY! PARKも併せて楽しんでね!