がまくんとかえるくん誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展が開幕—ぼくらはどこまでもそれぞれ一人ひとり そしていっしょ
“がまくんとかえるくん”シリーズで知られる絵本作家のアーノルド・ローベルの展覧会が日本国で初めて開催されている!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!
絵本『Tyrannosaurus Was a Beast』
児童文学作家のJack Prelutsky(ジャック・プリラツキー)の陽気な詩に合わせて16種の恐竜がコミカルに描かれている1988年刊行の絵本『Tyrannosaurus Was a Beast』(原題訳『怪獣のティラノサウルス』)の原画が展示されている。子どもたちも喜ぶ愛嬌のある恐竜の絵となっている。本作は、アーノルド・ローベルが亡くなった翌年に出版された。
童謡集『The Random House Book of Mother Goose』
キャリアの集大成としてアーノルド・ローベル自ら306篇を選んで絵をつけた1986年刊行の童謡集『The Random House Book of Mother Goose』(原題訳『ランダム・ハウスのマザー・グース』)の原画が展示されている。世界中で描きつくされてきたマザー・グースに新しいいのちを吹き込んだ本作は、アーノルド・ローベルが亡くなる前年に出版された。
あしあとをたどる
アーノルド・ローベルの子ども時代からの写真と、アーノルド・ローベルが8ミリフィルムで家族を撮影し、息子のアダム・ローベルが編集した映像も公開されている。写真と映像は、娘のエイドリアン・ローベルと息子のアダム・ローベルから提供を受けたもので、自宅での仕事の様子を通して絵本作家/イラストレーターとしての一面や、子どもたちと一緒に過ごしている様子を通して子どもたちとどのように接し教育していたのかなど父親の一面なども浮かび上がってくる。また、この展示付近では、1981年にアメリカ合衆国の児童図書館協会が贈ったCaldecott Medal(コールデコット賞)の授賞式で受賞スピーチをするアーノルド・ローベルの声が流れており、このスピーチには絵本作家として“子どものための絵本をつくる”という考え方が凝縮されている。公式図録には、この受賞スピーチが日本語に翻訳され、全文が掲載されているので公式図録も必読!そして、親子で楽しむことができ、小さな子どもたちもたくさん来場するPLAY! MUSEUMでは、大人とは違う目線で子どもたちが楽しむことができるよう、アーノルド・ローベルの作品が展示されている付近の足もとに、展示に関係する動物や恐竜などの原寸大の足跡が描かれている。足跡は、アーノルド・ローベルの作品ではないが、子どもたちがその足跡を辿っていくと作品に出会うという、ガイドの役割を果たしている。これは子どもも大人も関係なく、足跡を辿ってしまいそう!
アーノルド・ローベル展は、絵本に関するここ最近の展覧会の中でも上位をいく素晴らしい展覧会!Arnold Lobel氏のことを知る、貴重な原画やレイアウト、スケッチでお話を読んでいくという贅沢な体験はもちろん、特に加藤久仁生氏が手掛けた“がまくんとかえるくん”史上初のアニメーション映像は、本当に何時間でも何度でも見ていられるくらい天才的な作品だった。小学生の頃に読んだ「おてがみ」も懐かしく、久々に読んで温かい気持ちに!当時はただの国語の教科書と授業としか思わなかったけど、この年になって改めて読むと、素晴らしい作品だということに気付く。いま、世界的な新型コロナウイルスによる感染症のパンデミックや日本国政府による新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言によって外出自粛などの制限を強いられている中で、色々なことを考え、悩み、孤独、淋しさ、不安を感じている方も多いと思うが、そういう方も是非、感染予防対策をして、また無理をせずに緊急事態宣言解除後にでもアーノルド・ローベル展に足を運んでほしい。きっと、ほっとし、ほっこり温かく優しく穏やかな気持ちになり、勇気づけられ、元気になるはず!そして、Arnold Lobel氏と同じ時期に創作活動を続けた『The Very Hungry Caterpillar』(邦題『はらぺこあおむし』)でも知られるEric Carle氏の常設展『エリック・カール 遊ぶための本』、アーノルド・ローベル展に関連したワークショップも開催されているPLAY! PARKも併せて楽しんでね!