がまくんとかえるくん誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展が開幕—ぼくらはどこまでもそれぞれ一人ひとり そしていっしょ
“がまくんとかえるくん”シリーズで知られる絵本作家のアーノルド・ローベルの展覧会が日本国で初めて開催されている!どのような展覧会になっているの!?記事を読み進めよう!
第1章と第2章では、アーノルド・ローベルがお話と絵を手掛けた絵本の原画やレイアウト、スケッチなどが展示され、アーノルド・ローベルが子どもの頃に感じていた、人はどうあるべきなのか、個性とは何だろうかなど、アイデンティティを探る部分や葛藤の部分が色濃く表れた作品が展示されている。第4章では、アーノルド・ローベルが動物を主題としてお話と絵を手掛けた絵本の原画やレイアウト、スケッチなどが展示され、どうして動物を主人公にしたのかも知ることができる。第3章と第5章では、アーノルド・ローベルが手掛けた絵の原画が展示され、絵の(スタイルの)バラエティさや、自分のスタイルで絵をつくるだけではなく、すでにある物語に対してどのように絵をつくったのかを知ることができる。
試作本『ペトルーシュカ』・『ジャイアント・ジョン』
展示されている中で一番古い作品は、1955年、アーノルド・ローベルが22歳のときに手作りした試作本『Petrouchka 』(原題『ペトルーシュカ』)。絵本が商業出版される前に、試作本やポートフォリオを作成し、仕事を求めて出版社まわりをした。また、完成度を追求するために試作本づくりにも注力していたようで、1964年刊行の絵本『Giant John』(邦題『ジャイアント・ジョン』(文化出版局))などの試作本も残っている。
絵本『ぼくのおじさん』
両親が行方不明になり、年老いたおじさんに引きとられることになった子どものぞう“ぼく”を描いた1981年刊行の絵本『Uncle Elephant』(邦題『ぼくのおじさん』(文化出版局))の下絵やスケッチが展示されている。本作は、子どもの頃に両親の離婚を機に両親と離れ、祖父母に育てられたアーノルド・ローベル自身の自叙伝とも言われている。
絵本『よるのきらいなヒルディリド』
ペンとインクで黒の中に無数の白を浮かべて夜の存在を表現した1971年刊行の絵本『Hildilid’s Night』(邦題『よるのきらいなヒルディリド』(冨山房))の原画が展示されている。本作は、版画のような質感と全体の構図も素晴らしく、絵本芸術としての完成度の高さからアメリカ合衆国の児童図書館協会が贈るCaldecott Honor(コールデコット・オナー)を受賞した。
アーノルド・ローベル展は、絵本に関するここ最近の展覧会の中でも上位をいく素晴らしい展覧会!Arnold Lobel氏のことを知る、貴重な原画やレイアウト、スケッチでお話を読んでいくという贅沢な体験はもちろん、特に加藤久仁生氏が手掛けた“がまくんとかえるくん”史上初のアニメーション映像は、本当に何時間でも何度でも見ていられるくらい天才的な作品だった。小学生の頃に読んだ「おてがみ」も懐かしく、久々に読んで温かい気持ちに!当時はただの国語の教科書と授業としか思わなかったけど、この年になって改めて読むと、素晴らしい作品だということに気付く。いま、世界的な新型コロナウイルスによる感染症のパンデミックや日本国政府による新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言によって外出自粛などの制限を強いられている中で、色々なことを考え、悩み、孤独、淋しさ、不安を感じている方も多いと思うが、そういう方も是非、感染予防対策をして、また無理をせずに緊急事態宣言解除後にでもアーノルド・ローベル展に足を運んでほしい。きっと、ほっとし、ほっこり温かく優しく穏やかな気持ちになり、勇気づけられ、元気になるはず!そして、Arnold Lobel氏と同じ時期に創作活動を続けた『The Very Hungry Caterpillar』(邦題『はらぺこあおむし』)でも知られるEric Carle氏の常設展『エリック・カール 遊ぶための本』、アーノルド・ローベル展に関連したワークショップも開催されているPLAY! PARKも併せて楽しんでね!