過去最大規模で上陸した展覧会『バンクシー展 天才か反逆者か』が開幕—強烈なメッセージ性溢れる作品が衝撃と気付きを与える
遂に日本国でのBanksy Yearがスタート!過去最大規模で上陸した『バンクシー展 天才か反逆者か』の全貌と見どころはいかに!?プロデューサー兼キュレーターが語ったこととは!?記事を読み進めよう!

この『Smiley Copper』(『スマイリー・コッパー』)は、初期の象徴的なイメージの一つで、様々な技法で描かれている。破壊活動を暗示するスマイリーフェイスでマシンガンを手にして武装する警察官が描かれ、権力と権威に対する警告を表現したと考えられる。現代社会においては民間人を標的とした警察や公権力の暴力・人権侵害は珍しくなく、より組織なものへと変化してきている。バンクシーは、「誰も信じてはならない。権力と権威を振りかざすやつらを疑ってかかれ。いつ攻撃のために銃が使われるかわからないのだから」と警告している。ここには、バンクシーの言葉「Some people become cops because they want to make the world a better place. Some people become vandals because they want to make the world a better looking place.」(世界をより良い場所にするために一部の人は警察官になる。世界をより見栄えの良い場所にするために一部の人は破壊者になる。)が書かれている。
Laugh Now / Rude Copper

Art by Banksy ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

Art by Banksy ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
この『Laugh Now』(『ラフ・ナウ』)は、2000年にイギリス(連合王国)ブライトンにあるクラブから注文を受け、珍しくオーダーメイドで制作され、「Laugh now, but one day we’ll be in charge」(いまは笑うがいいさ、でもいつかは俺たちがやってやる)と書かれた広告バナーを首からぶら下げているもの憂げなサルが描かれている。このテーマをさらに発展させ、2002年にアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスで開催した自身の展覧会『Existentialism』(『エグズィステンシャリズム』)では、どんな状況においても自分自身であり続けることに価値があることを表現したと考えられる『Keep It Real』(『キープ・イット・リアル』)、警察は信用できないということを表現したと考えられ、“警察に対して嘘をつくことは決して間違っていない”を意味する『Lying To The Police Is Never Wrong』(『ライング・トゥ・ザ・ポリス・イズ・ネバー・ウロング』)を展示した。バンクシーは、サルとネズミを積極的に用いている。
この『Rude Copper』(『ルード・コッパー』)は、イギリス(連合王国)の警察官が中指を立て、警察官の上には無秩序を意味するアナーキーのシンボルがスプレーで描かれており、風刺的な性質を帯びている。法と秩序を代表する人たちに対してバンクシー自身の意見を率直に伝えていると考えられる。コピーライトマークが描かれた作品の一つで、2002年に250枚を発売し、数枚を手描きでドローイングした。展示されているのは手描きでドローイングされた1枚。また、直筆サインを入れ、この警察官のモデルとなった男性に贈呈したようだ。
Love is in the Air

Art by Banksy ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
この『Love is in the Air』(『ラブ・イズ・イン・ジ・エアー』)は、『Flower Thrower』(『フラワー・スロワー』)の名でも知られる有名な作品の一つで、バンダナで顔を隠した青年が街頭でデモまたは抗議に参加し、火炎瓶に見立てて花束を投げる様子をパレスチナのヨルダン川西岸地区にあるベツレヘムの建物に描いた。どのような変革も平和的な手段で達成されなくてはならないというメッセージを表現したと考えられる。バンクシーは、パレスチナ・イスラエル問題に焦点を当てた作品を多数制作しており、イスラエルの兵士が銃口を向ける中、イスラエルとパレスチナを分断する全長450km・高さ8mの分離壁に9つのグラフィティを描き残した。バンクシーと同様、様々なアーティストが分離壁をキャンバスにしてアートを残しており、フォトグラファーのJR(ジェイアール)はイスラエル側にはパレスチナ人の顔の大きな写真を、パレスチナ側にはイスラエル人の顔の大きな写真を貼り、見分けがつかないほど似ている両国の人々にメッセージを表現した。分離壁にグラフィティを描いたコンテンポラリー・アーティストのRon English(ロン・イングリッシュ)は、ドキュメンタリー映画『The Man Who Stole Banksy』(邦題『バンクシーを盗んだ男』)の中で「壁画が壁の価値を上回ったら壁はなくなるだろう」と、分離壁のアートとその価値について語っている。
バンクシーの本物の作品が世界中から集結した。作品を見ていると、どストレートに様々なことを問いかけられ、世界と社会のリアルな現状が見えてくる。いまこの時代だからこそ、日本人も日本国と世界の問題に目を向け、もっと考えなければならない。