過去最大規模で上陸した展覧会『バンクシー展 天才か反逆者か』が開幕—強烈なメッセージ性溢れる作品が衝撃と気付きを与える
遂に日本国でのBanksy Yearがスタート!過去最大規模で上陸した『バンクシー展 天才か反逆者か』の全貌と見どころはいかに!?プロデューサー兼キュレーターが語ったこととは!?記事を読み進めよう!

ホテルから“世界一悪い眺め”が望めることを売りに、2003年にイスラエルがテロリストから国を守るという目的で建設した分離壁のそばで暮らすパレスチナ人の苦悩を伝えようと、イスラエルからの観光客をターゲットにしたが、イスラエル人がパレスチナ自治区内に滞在することを禁止されていたことで、消費主義を逆手にとって世間の目をイスラエル・パレスチナ問題に向けさせることにした。バンクシーは、「ホテルの滞在客は、単にここが人気の場所であることを理由に金銭を払う」と語っており、町には税金が入り、滞在者は壁の裏側でどのような暮らしが営まれているのかを知ることができる。本展覧会では、インスタレーションとして、ベットやグラフィティ、家具を含む客室の一室が再現されているほか、ショップで抽選方式で販売された『Grappling Hook』(『グラップリング・フック』)、ホテルの様子を撮影した写真が展示されている。
リアルでどストレートなバンクシーの言葉

©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
本展覧会では、リアルでどストレートなバンクシーの言葉の数々が、会場のいたるところの壁にステンシル技法のグラフィティで再現されているので、チェックしよう。
バンクシーになりきって写真を撮影しよう

©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
入場ゲートや赤い公衆電話ボックス、グラフィティが再現された木製ベンチ、防犯カメラと監視モニター、大気汚染問題を表現したと考えられる『Season’s Greetings』(『シーズンズ・グリーティングス』)の再現、ビルの上に取り付けられていた『Rat Clock』(『ラット・クロック』)の再現、The Walled Off Hotel(『ザ・ウォールド・オフ・ホテル』)のベッドなど、会場には格好良いフォトスポットがたくさん!もちろん展示されている作品も撮影可能!バンクシーになりきって写真を撮影し、ハッシュタグ#BANKSYJAPANと一緒にソーシャルメディアに投稿しよう。
本展覧会は、バンクシー本人によってオーソライズやキュレーションされた展覧会ではないことから、バンクシーのオフィシャルウェブサイトでは一部“FAKE”(フェイク)と“表現”され、そこには「アーティストの知識や関与なしに組織している」と書かれたほか、バンクシー本人に会ったことがあるという日本人ジャーナリストがソーシャルメディアで「アーティスト本人の合意なしに勝手に運営されているフェイク展」と苦言を呈したが、本展覧会からバンクシー本人と第三者が言うそれぞれの“フェイク”の意味の違いが浮き彫りになっている。
バンクシーがあえて“フェイク”と表現し、海外で開催された本展覧会のヴィジュアルや入場料を自身のオフィシャルウェブサイトに掲載しているのは、消費主義に対する批判、自身や作品のメッセージが間違って伝わる可能性があるという危惧、自身がセルアウトしている(商業的な成果だけを求めている)と思われたくないという思惑の反面、自身のメッセージや本物の作品を見て知ってもらう良いきっかけや機会であり、自身の知識や関与がなくても展覧会に興味を持ってもらおうという、両方の思惑・メッセージがあるのではないだろうか。アーティストは、作品を制作して発表するだけではなく、作品やライセンスを販売して生計を立てる。バンクシーも版画やマーチャンダイズを販売し、自身の技術や作品、知名度で社会貢献やチャリティ、キャンペーンにも参加している。それらを成すためには、より多くの人に知ってもらうことも大切であることは言うまでもない。中には本当に偽物を展示した展覧会もあるだろうが、バンクシーの“フェイク”は、表裏一体と言え、私たちはあえて“フェイク”と表現して注目を向けさせている“かもしれない”バンクシーを天才と考える。本当にバンクシー本人が嫌悪感を感じているのであれば、自身のオフィシャルウェブサイトに展覧会のヴィジュアルや入場料さえも掲載せず、“絶対に行くな”というメッセージを発することも、批判を展開することも、権利を侵害している展覧会であれば法的手段に打って出ることもできるが、していない。
後日掲載する、本展覧会のプロデューサー兼キュレーターであるIQ Art Management Corporation(IQアート・マネージメント・コーポレーション)創設者/CEOのアレクサンダー・ナチケビアがインタビューの中で語るが、本展覧会を組織するにあたって準備段階からバンクシーのスタッフとも密に連絡を取り合ってきたことが明らかになった。そして、“もしかするとアレクサンダー・ナチケビアがバンクシーかもしれない”と思ってしまうほど、アレクサンダー・ナチケビアと彼の会社のチームがバンクシーに対する敬意と愛情を持って本展覧会をつくり上げたことも伝わってくる。
バンクシーの本物の作品が世界中から集結した。作品を見ていると、どストレートに様々なことを問いかけられ、世界と社会のリアルな現状が見えてくる。いまこの時代だからこそ、日本人も日本国と世界の問題に目を向け、もっと考えなければならない。