日本初の大規模な展覧会『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』が開幕—バスキアに王冠を捧げ、時代や感情を重ねる
アーティスト/画家のJean-Michel Basquiat(ジャン=ミシェル・バスキア(1960-1988))の展覧会『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』(Jean-Michel Basquiat: Made in JAPAN)が、2019年9月21日(土曜日)に東京・森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)で開幕し、連日大勢の鑑賞客で賑わっている。
展覧会『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』の開幕前日には内覧会が開催され、本展覧会のキュレーターを務めた、世界中でジャン=ミシェル・バスキアに関する展覧会を開催しているバスキア研究の世界的権威で美術史家/キュレーターのDr. Dieter Buchhart(ディーター・ブッフハート)、アソシエイト・キュレーターのAnna Carina Hofbauer(アナ・カリーナ・ホフバウアー)、ジャン=ミシェル・バスキアの実妹Lisane Basquiatなどが来日。
ディーター・ブッフハートは、ジャン=ミシェル・バスキアについて「彼は、生き方としても芸術家としても求心的な人物でした。彼は若い頃から活動し、公的な空間でグラフィティをしていました。1980年代、彼が亡くなる直前にある方から言われたことは、ニューヨークで流行っている格好良いアートイベントやクラブに行くとバスキアの存在と、バスキアと共にアル・ディアスとの作品が必ずあったと言われました。彼は、非常に人気があり、ニューヨークのすべての芸術関係の方たちが彼の大ファンになり、有名なキース・へリングも彼のファンの一人でした。公的な空間でグラフィティをするだけではなく、ギャラリーで個展が開催されるようになり、多くのコレクターに認められ、多くの作品が買われました。1980年代初頭に本展覧会に展示されている作品を描いており、アメリカの芸術界のスターでした」と語り、ジャン=ミシェル・バスキアと日本国の関係については「バスキアと日本の関係は、非常に深いものがありました。日本の文化が西洋に大きな影響を与えていることもご理解いただけると思います。バスキアは、日本の素晴らしい経済的な力やイノベーションが溢れるているところに魅了され、大ファンになりました。そのため、何度も日本を訪れ、小さな規模で作品も展示されました」と明かした。さらに本展覧会の監修を務めた美術史家/神戸大学教授の宮下規久朗は、「バスキアは、有名ではありましたが、没後しばらく評価は高くありませんでした。21世紀に入って突然評価が上がりました。何故そんなに高い評価を受けているのかというと、彼の作品が戦後アメリカ美術、抽象表現主義以降の正当な流れに位置しているということ、大画面性、荒っぽいタッチ、オールオーバーという性質、カンバスが手作りで立体的、一種の民族芸術のような黒人性が作品に認められてきました。いまでは20世紀最後の巨匠として非常に高く評価されています」と、ジャン=ミシェル・バスキア作品の評価について説明した。
近年ではイギリス(連合王国)ロンドンやフランス共和国パリをはじめ、欧州の著名な美術館で展覧会が開催されているなかで、展覧会『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』は待望となっていた日本国での初の大規模な展覧会となり、ディーター・ブッフハートがキュレーターを務め、世界各地から集めたプライベートコレクションを含む約130点の絵画やオブジェ、ドローイングなどの作品を一堂に展示。出展作品のなかには、アート・コレクターとしても知られる前澤友作(前・株式会社ZOZO 代表取締役社長)が2017年にオークションで購入し、所蔵している『Untitled』(1982年)も含まれている。さらにジャン=ミシェル・バスキアと日本国との関わりも明らかになっており、『MADE IN JAPAN』、『YEN』のようにバブル景気を迎えていた1980年代の日本国の世相を反映したモチーフ、ひらがなを取り入れた作品などを通して、日本国の豊かな歴史や文化が彼の創作に及ぼした知られざる影響と絆、彼が見て感じた当時のニッポンの熱気や雰囲気に迫る。
先週にはアーティスト/デザイナーのKAWS(カウズ)も家族と一緒に来日、本展覧会を鑑賞するなど世界中から注目を集めており、世界中の人々を魅了するジャン=ミシェル・バスキアと日本国初の大規模な展覧会『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』の全貌と見どころをご紹介する。
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