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特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』が開幕—岡寺・室生寺・長谷寺・安倍文殊院の国宝・重要文化財が集結

 
特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』
©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

安倍文殊院

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』

Photo by 三好和義

安倍文殊院は、奈良県桜井市阿部に所在する。飛鳥時代の大化元年(645年)に阿倍倉梯麻呂が安倍氏の氏寺として創建した崇敬寺(安倍寺)の別所を前身とする寺院。平安時代後期に崇敬寺近隣に別所が建てられ、鎌倉時代初期にその別所と統合するかたちで現在の地に移転したとされている。本尊の国宝「文殊菩薩五尊像」文殊菩薩像内銘文によると、建仁3年(1203年)に仏師の快慶が造像したことがわかっている。また、銘文中に東大寺勧進聖であった重源をはじめとする約50名の結縁者が記されていることから、多くの人々との合力によって造像が成し遂げられたとみられている。さらに文殊菩薩像内納入品の奥書には、発願者が東大寺僧の慧敏であることや納入品を明遍が承久2年(1220年)執筆した旨が記されている。総高7mを超える本尊は、日本三文殊の一つで、文殊菩薩が眷属を従えて海を渡る「渡海文殊」として信仰されている。

国宝 文殊菩薩像像内納入品 仏頂尊勝陀羅尼・文殊真言等

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』

国宝 文殊菩薩像像内納入品 仏頂尊勝陀羅尼・文殊真言等/鎌倉時代・承久2年(1220年)/奈良・安倍文殊院蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

安倍文殊院の本尊である国宝「文殊菩薩五尊像」の中尊文殊菩薩蔵の納入品。奥書に慧敏が発願した九尺の文殊像に納めるため明遍(空阿弥陀仏)が承久2年(1220年)に執筆した旨が記されている。慧敏は、明遍の甥でもあり、共に奈良・東大寺の僧だった。安倍文殊院の前身は、東大寺を本寺とする崇敬寺の別所であったことから、文殊菩薩五尊像は東大寺や南都の文殊信仰に基づいて造像されたと考えられている。

グッズ

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』の会場(東京国立博物館 本館 11室)入り口付近にある特設ショップでは、東京国立博物館ならではの図録(864円(税込))も販売されており、今回も充実した内容となっている。さらに全16種ポストカード(120円(税込))や全2種クリアファイル、安倍文殊院、長谷寺、室生寺、岡寺それぞれのグッズやお土産、御朱印帳も販売されているほか、通常は四寺を巡礼しなければ拝受することができない御朱印だが、今回は特別に四寺の御朱印のある「奈良大和四寺の満願巡礼衣」(2,200円(税込))も販売されている。

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』は、1,200年以上の歴史を誇る古刹・奈良大和四寺の魅力に富んだ名宝が展示されており、目を見張るような美しい仏像が迎える。「平成」から「令和」への改元という日本国の時代の節目に、国の起源や歴史に触れる機会にもなるほか、日本国発祥の地、自然豊かな地にある寺院の本尊や中尊が木や土で造られていることにも古来からの自然信仰を感じることができる。

 

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』

 

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