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特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』が開幕—岡寺・室生寺・長谷寺・安倍文殊院の国宝・重要文化財が集結

 
特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』
©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

室生寺は、奈良県と三重県との県境の奈良県宇陀市室生に所在する山岳寺院。この土地は、太古の火山活動が生み出した独特な地形をしており、古来、神のやどる神聖な地とみなされてきた。この地が注目されるようになるのは、奈良時代末期の室亀年間(990年〜780年)。後の桓武天皇となる皇太子が病になった際、浄行僧に室生龍穴で祈祷させたところ回復したと言われている。その後、即位した桓武天皇の命により、興福寺僧、賢璟(賢憬)が室生寺を創建。創建時当時の唯一の建造物としていまに伝わるのは、屋外に建つ中では日本国最小の五重塔である。仁王門をくぐり、左手前方の急な石段を登った先の空間に金堂が建っており、かつて薬師堂ないしは根本堂と呼ばれた金堂は、天台僧の円修とその弟子の賢慧によって比叡山延暦寺の根本堂中堂を模して建てられたものとみられている。中尊の国宝「釈迦如来立像」は、実は薬師如来として造られたものであることが明らかにされており、金堂の右端に安置される国宝「十一面観音菩薩立像」と室生三本松にある重要文化財「地蔵菩薩立像」の三尊構成だったようだ。厳しく女人を禁制した高野山に対して、女性の参詣を許したことから「女人高野」とも呼ばれて親しまれてきた。室生山は水源地でもあり、古くより水を司る龍神信仰の霊地としても知られている。

国宝 釈迦如来坐像

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』

国宝 釈迦如来坐像/平安時代・9世紀/奈良・室生寺蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

弥勒堂の脇陣厨子内に安置されている国宝「釈迦如来坐像」。着衣の翻場式衣文に見られる深浅自在の切れ味鮮やかな彫技は、一木彫像の真骨頂である。左足の甲の下に現れる三角形状の衣端や左足ふくらはぎ上に垂らす左袖口などの表現は、奈良時代末期の木彫像や木心乾漆像の表現を引き継いでいる。また、上半身が長くのびやかなプロポーションも奈良時代の仏像様式の名残をみせている。興福寺僧の賢璟(賢憬)が室生寺を創建した当初の本尊だった可能性があるという。

国宝 十一面観音菩薩立像・重要文化財 地蔵菩薩立像

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』

左)重要文化財 地蔵菩薩立像/平安時代・10世紀/奈良・室生寺蔵、左前)重要文化財 十二神将立像(酉神)/鎌倉時代・13世紀/奈良・室生寺蔵、右)国宝 十一面観音菩薩立像/平安時代・9〜10世紀/奈良・室生寺蔵、右前)重要文化財 十二神将立像(巳神)/鎌倉時代・13世紀/奈良・室生寺蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi


 

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』

 

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