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特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』が開幕—岡寺・室生寺・長谷寺・安倍文殊院の国宝・重要文化財が集結

 
特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』
©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

岡寺

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』

Photo by 三好和義

古代政治の舞台、大和の飛鳥。石舞台古墳などの多くの史跡を見下ろす高台に岡寺はある。岡寺は、現在の奈良県明日香村に所在し、7世紀の歴代天皇の王宮があった飛鳥宮の跡の東南の山中に建つ。岡寺の名は、「飛鳥岡(あすかのおか)」という古代の地名に基づいている寺号だが、龍蓋池に封じた竜の説話に由来した龍蓋寺(りゅうがいじ)の名(法号)も持つ。開基は、飛鳥時代後期から奈良時代初頭にかけて活躍した高僧の義淵僧正(?〜728年)。義淵僧正が天智天皇の孫の草壁皇子とともに育った岡本宮(おかもとのみや)を後に与えられ、岡寺が造営されたと伝えられている。本尊は、奈良時代末期の制作とみられる像高4.85mにも及ぶ巨大な重要文化財「如意輪観音菩薩坐像」。土で造られた塑像の中では日本国最大で、その堂々たる姿は奈良時代彫刻の壮大さをよく示している。岡寺に伝わる重要文化財「銅造菩薩半跏像」は、創建当初の本尊で、現本尊の像内にあったという伝承をもつ。平安時代後期になると、岡寺は西国三十三所霊場の巡礼路に組み込まれ、本尊は霊験あらたかな観音として絶大な人気を博した。現在も西国三十三所霊場巡礼の第七番札所として、厄除け祈願の参拝者が後を絶たない。

国宝 義淵僧正坐像

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』

国宝 義淵僧正坐像/奈良時代・8世紀/奈良・岡寺蔵 ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

岡寺の開基、義淵僧正(?〜728年)の肖像として伝来した日本古代肖像彫刻の名作の一つ。顔には刻み込まれた皺や浮き出たあばらなどの老いた姿と、目尻の下がった大きな目や鼻筋の通った異国の表情が融合しており、中国で定型化した僧侶の理想的な姿とされる。国宝「義淵僧正坐像」も、実在の人物ではなく、僧侶の尊崇を受けた仏弟子の賓頭盧尊者像として造られたと見られている。重量感のある体つきと深い皺は、長年修行を重ねてきた高僧の精神性を表しているかのようである。

 

特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』

 

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