特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』が開幕—岡寺・室生寺・長谷寺・安倍文殊院の国宝・重要文化財が集結
特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』が、2019年6月18日(火曜日)に東京・東京国立博物館 本館11室で開幕した。
JR東海の観光キャンペーン「うまし うるわし 奈良」の効果もあり、奈良県や、奈良県にある神社仏閣、さらには改元という時代の節目に日本国の起源や歴史、文化、古来からの自然信仰などへの関心と注目が再び高まる中、特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』が開幕。
東京国立博物館 本館 11室には、奈良大和四寺の国宝・重要文化財の仏像や文書が一堂に会し、奈良時代に流行した木心乾漆造の国宝「義淵僧正坐像」(岡寺)、平安時代初期の重厚な特色を備える国宝「釈迦如来坐像」(室生寺)、鎌倉時代に高度な技術で造られた重要文化財「十一面観音菩薩立像」(長谷寺)、国宝「渡海文殊」(文殊五尊像)のうち本尊・国宝「騎獅文殊菩薩像」(快慶作)の像内に納められていた経巻・国宝「文殊菩薩像像内納入品 仏頂尊勝陀羅尼・文殊真言等」(安倍文殊院)など、国宝4件、重要文化財9件を含む名品が展示され、目を見張るような卓越した造形と信仰の厚み、日本国の仏教文化を伝えるみほとけを紹介している。
今週6月18日(火曜日)の初日には開会式が開催され、奈良大和四寺を代表して室生寺座主の網代智明猊下が挨拶し、展示されている国宝や重要文化財について「信仰の対象ですので美術品とは言いたくないんですが、昔の偉大な先人が心を込めて作り上げた芸術作品だと思います。そういったものを間近に鑑賞していただいて、仏像というものはどういうものなのかを皆様に心に刻んでいただければと思います」と語った。
ここで特別企画『奈良大和四寺のみほとけ』の見どころをご紹介する。
奈良大和四寺
奈良県中央部は、日本国初代天皇の神武天皇陛下が橿原の地に建国創業を営まれて以来、日本国発祥の地とされる。歴代天皇陛下が御代ごとに都を営み、泊瀬朝倉(初瀬朝倉)、磐余、飛鳥、藤原京へと移りゆく幾代もの都が点在した政権の中心地でもあり、古来より「国中」「大倭国(大和国)」とも呼ばれてきた。また、安土桃山時代には、飛鳥時代・奈良時代以来の古い寺社が権門領主として大和国を支配していたことから「神国」という異称もあったと言われている。日本国の異称「ヤマト」は、御神体としてあがめられていた三輪山の西麓一帯(奈良盆地の東南部、現在の奈良県天理市南部にある大和神社から卑弥呼の墓とされている箸墓古墳を経て、磐余と呼ばれた天の香具山東麓地域)の地名。一地域の呼称に過ぎなかったが、次第にいまの奈良県にあたる大和国全体、そして、日本国全体を意味するようになっていった。この地に建てられた四寺=明日香に位置する岡寺、磐余に位置する安倍文殊院、泊瀬朝倉(初瀬朝倉)に位置する長谷寺と室生寺は、いずれも6世紀半ばに朝鮮半島から仏教が伝来して間もない飛鳥時代・7世紀から仏教を大いに受け入れた奈良時代・8世紀に創建された古刹であり、1,200年以上の歴史を誇る。そして、奈良大和四寺の本尊および中尊は、現在、全てが国宝または重要文化財に指定されており、魅力に富んだ仏像を伝えている。