映画『フェラーリ』死と背中合わせの情熱—伝説の公道レース『ミッレミリア』をマイケル・マン監督らが解説

伝説の公道レース『ミッレミリア』再現撮影の様子 ©︎ 2023 MOTO PICTURES, LLC. STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画『Ferrari』（邦題『フェラーリ』）の特別映像〈命を賭けた“ミッレミリア”編〉が公開された。

今回公開された特別映像〈命を賭けた“ミッレミリア”編〉は、伝説の公道レース『Mille Miglia』（『ミッレミリア』）について、本編映像を交えて本作の監督を務めた映画監督/脚本家/作家/プロデューサーのMichael Mann（マイケル・マン）監督や、プロレーシングドライバー ピエロ・タルフィを演じた俳優のPatrick Dempsey（パトリック・デンプシー）らが解説する。

本作では、『ミッレミリア』の様子が再現されたほか、当時のレース映像や、1957年に『ミッレミリア』のレース中に観客を巻き込む事故で亡くなったプロレーシングドライバー/ボブスレー選手のAlfonso de Portago（アルフォンソ・デ・ポルターゴ侯爵／1928 – 1957）の映像も使用されている。伝説の公道レース『ミッレミリア』について、自身もレーシングドライバーとしての経験を持つパトリック・デンプシーは「モータースポーツの時代だ。夢に満ちていたが悲劇や危険も多かった。戦前から1950年代までの時代。いまは大破した車からドライバーが歩いて出てくるが、当時はありえない。ミスをすれば死が待っている」と言い、マイケル・マン監督は「この時代のフェラーリは圧倒的なパワーがあった。すべてが最先端だ。だが当時のレースは死の危険が伴う。1956年から1958年は半数のドライバーが死亡している」と言うように、1950年代のレースにおける失敗は死を意味するほど非常に危険なものだったという。さらにマイケル・マン監督はエンツォ・フェラーリのセリフを引用し「事故には遭わないという信念があるんだ。レースから逃れられない」、パトリック・デンプシーは「瞑想と同じだよ。相当なスピードだ、無心になって集中する。すると静寂のなかで心が浄化された状態になる」と、人生真っ盛りで危険なレースに出走するレーシングドライバーの心情を分析する。エンツォ・フェラーリを演じるにあたって役作りのためにレース場でのテスト走行に同乗したというアダム・ドライバーが「すべてのカーブに危険が潜む。何が起こるか分からない、そんな危険な状況で勝利を獲得するためにどうやって目の前に集中するのか——」と問いかける。

破産・廃業寸前のフェラーリ社とエンツォ・フェラーリが起死回生を賭けて挑んだイタリア共和国全土1000マイル縦断の公道レース『ミッレミリア』は、ロンバルディア州ブレシアをスタート、ローマで折り返し、ブレシアに戻るという、一般公道1000マイル（約1600km）を縦断走行するレース。貧しさゆえに常設サーキットが少なかったイタリア共和国の国民的人気イベントとなり、その戦果はスポーツカーメーカーの売り上げや生き残りの命運をも左右したと言われる。1927年にスタートし、1957年に起きた大きな事故がきっかけとなって幕を閉じた。現在、同名のレースが開催されているが、クラシックカーレースとして開催されている。

“F1の帝王“エンツォ・フェラーリの波乱と激動の1年を描く衝撃の実話—映画『Ferrari』（邦題『フェラーリ』）は、絶賛上映中。

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