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日本書紀成立1300年特別展『出雲と大和』が開幕—神話を礎とする壮大な国家の構築とデザインの舞台となった重要地点から紐解く

天皇陛下・皇后陛下のお代替わりと改元に伴い、日本国の成り立ちや歴史が注目を集めるなか、古代日本を紐解く特別展『出雲と大和』が開催中!展覧会の見どころはいかに!?記事を読み進めよう!

 
日本書紀成立1300年 特別展『出雲と大和』
国宝 銅鐸/島根県雲南市 加茂岩倉遺跡出土/弥生時代・前2~前1世紀/文化庁蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管) ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate Photo by Ryohei Ryan Ebuchi
日本書紀成立1300年 特別展『出雲と大和』

重要文化財 画文帯神獣鏡/奈良県天理市 黒塚古墳出土/古墳時代・3世紀/文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所保管) ©︎ SAPIENS TODAY and Wingedicate, Photo by Ryohei Ryan Ebuchi

日本書紀成立1300年 特別展『出雲と大和』が、2020年1月15日(水曜日)に東京・東京国立博物館 平成館で開幕、一部展示替えが行われ、明日2月11日(祝日・火曜日)の建国記念日より後期展示がスタートする。

 

今年2020年(令和2年)は、日本国第40代天皇の天武天皇が、皇室や各氏族の歴史上での位置付けや歴史的正当性を明確化し、天皇を中心とする律令国家として国をまとめることを目的として作成を命じた極めて政治的色彩が濃厚な最古の歴史書である正史『日本書紀』が編纂された養老4年(720年)から1300年を迎えた。国家の一大事業として、舎人親王(676から735年)が中心となって和銅5年(712年)に編纂、養老4年(720年)に完成し、元正天皇へ奏上された正史『日本書紀』は、全三十巻で構成され、巻第一・巻第二の神代(神々が支配していた時代)、巻第三の神武天皇から巻第三十の持統天皇までが記されており、8世紀に編纂された一般に現存する最古の歴史書『古事記』よりもたくさんの記事が収められている。冒頭に記された「国譲神話」には、出雲大社(いずもおおやしろ)の御祭神として祀られている大国主大神(オオクニヌシ(オオナムチ))は「幽」=人間の能力を超えた世界、神々や祭祀の世界を司るとされ、天皇は大和の地において「顕」=目に見える現実世界、政治の世界を司ると記されており、実際に「顕」を象徴する大和(奈良県)は、古墳時代に日本列島を代表する王権力組織=大王(のちの天皇)を中心とするヤマト王権が成立し、大陸間の交流を通して様々な文物や最先端の知識や技術を導入、舶載品や模倣品などを各豪族に与えることで王権の基盤を固めていたと考えられている。「幽」を象徴する出雲(島根県)は、多くの神話の舞台として登場する地であり、1980年代以降に荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡で銅剣・銅矛・銅鐸などの出土が相次いだほか、皇室に伝わる“三種の神器”の一つでもある(出雲型)八尺瓊勾玉などを生産する玉造の拠点であることや、日本海を通した大陸間交流によって多くのヒトやモノが行き交う結節点の役割を担い、独自の文化を形づくり築いていたことでヤマト王権が出雲を特別かつ重要な地とみなしていたことがわかっており、古代日本において出雲と大和の重要な役割と密接な関係が浮かび上がってくる。

特別展『出雲と大和』は、第1章「巨大本殿 出雲大社」、第2章「出雲 古代祭祀の源流」、第3章「大和 王権誕生の地」、第4章「仏と政」の4章で構成され、重要文化財「日本書紀 巻第二」をはじめ、出雲大社の境内から出土した重要文化財「心御柱」と重要文化財「宇豆柱」、古くから伝わる手箱や甲冑などのご神宝、社殿を飾っていた絵画など出雲大社の歴史を物語る作品、『日本書紀』記載の「七つの枝を持つ刀」を裏付ける国宝「七支刀」、修理完成後初公開&東京初公開となるメスリ山古墳出土の世界最大の円筒埴輪、東京でまとめて公開されるのは約20年ぶりとなる荒神谷遺跡出土の国宝「銅剣・銅鐸・銅矛」計189点と加茂岩倉遺跡出土の国宝「銅鐸」のうち30個、黒塚古墳の被葬者を護り鎮めた33面の「三角縁神獣鏡」全点、1300年もの間大和の地でひっそりと守り伝えられてきた最古級の石仏である重要文化財「浮彫伝薬師三尊像」が寺外初公開され、国宝・重要文化財を含む出雲と大和の名品約170件が一堂に会し、古代日本の成立や特質に迫っている。東京国立博物館の担当者は、「『日本書紀』と言ってもなかなか難しいと思いますので、切り口としまして学校の教科書などにも出てくる展示作品の素材の移り変わりや大きさ、数量、造形に注目して見ていただくと、時代の移り変わり、ヤマト王権の勢力や交流の様子がわかってくると思います」と、難しく考えずに鑑賞してほしいと説明した。

昨年に執り行われた天皇陛下・皇后陛下のお代替わりと改元に伴い、日本国の成り立ちや歴史が国内外から注目を集めている中、神話を礎とする壮大な国家の構築とデザインの舞台となったふたつの重要地点の膨大な史料や仏像などを通して古代日本を紐解く特別展『出雲と大和』の見どころをご紹介する。

※SAPIENS TODAY|サピエンストゥデイに掲載する仏像等展示物の写真は、過剰な照明の明かりや色を極力除去し、本来の仏像等展示物の素材や色相を再現する編集をしています。そのため、実際の展示照明の明かりや色相とは異なる場合がありますので予めご了承ください。

正史『日本書紀』

特別展『出雲と大和』

重要文化財『日本書紀』巻第二/南北朝時代・永和1~3年(1375~1377年)/愛知・熱田神宮蔵 ※後期展示(2月11日〜3月8日)

今年2020年に成立1300年を迎えた正史『日本書紀』。前期は国宝『日本書紀』神代巻(乾元本)下が公開され、2月11日(祝日・火曜日)から始まる後期展示では重要文化財『日本書紀』巻第二が公開される。

 

東京国立博物館 日本書紀成立1300年 特別展『出雲と大和』

 

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